最新記事

貿易戦争

トランプの対中貿易戦争に巻き込まれた「勝ち組」と「負け組」

2019年6月24日(月)10時41分

米企業は半導体からトラクターまであらゆる業種が、対中通商紛争や鉄鋼関税引き上げなどトランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の影響を受けたと説明している。写真は3月22日、仏ボルドーで撮影(2019年 ロイター/Regis Duvignau)

企業は半導体からトラクターまであらゆる業種が、対中通商紛争や鉄鋼関税引き上げなどトランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争の影響を受けたと説明している。

鉄鋼など予想通り勝ち組となった業種が一部にあるものの、トランプ氏の関税引き上げによる企業の恩恵は、全体ではそれほど明確ではない。

貿易戦争による勝ち組と負け組は以下の通り。

◎負け組

<ハイテク企業>

・アップル

米中通商関係を巡る先行き不透明感から景気が悪化した中国でiPhone(アイフォーン)の販売が鈍ったとして、売上高見通しを引き下げた。

・インテル

先月、中国での需要鈍化を理由に19年の売上高見通しを下方修正した。

<自動車・オートバイ等>

・フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)

関税引き上げによる今年のコモディティー関連のコスト上昇を7億5000万ユーロと見積もっている。

・ゼネラル・モーターズ(GM)

関税引き上げと素材関連で今年のコストが10億ドル余分に膨らむと見込んでいる。鉄鋼やアルミニウムの価格は下がっているが、パラジウムなど他のコモディティーは値上がりしているという。

・フォード・モーター

関税引き上げに絡む18年の業績への「逆風」を7億5000万ドル程度と発表した。販売台数が落ち込む一方、関税引き上げなどの影響でコモディティー関連コストが上昇し、第1・四半期のコストは前年同期に比べて5億ドル増大した。

・ハーレー・ダビッドソン

欧州連合(EU)と中国における関税引き上げに関連するコストが18年は2370万ドルだったと発表した。今年は1億─1億2000万ドルの範囲と見込んでいる。

・ウィネベーゴ・インダストリーズ

関税引き上げや追加関税提案により20会計年度に少なくとも1000万ドルのコスト上昇圧力がかかると予想した。

<重機・農機>

・キャタピラー

関税引き上げが緩和されなければ、今年のコストが2億5000万─3億5000万ドル押し上げられると予想した。

・ディア

今年2月、中国からの輸入品への関税引き上げによる今年のコストを1億ドルと予想した。

<農業>

・アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)

第4・四半期の調整後営業利益が1億8300万ドルと前年比30%落ち込んだ。対中貿易戦争でソルガムと大豆のオリジネーション(集荷・輸出)事業が打撃を受けたため。

・ブンゲ

米中貿易戦争が回避されるとの見通しに基づいた大豆取引で昨年8月、時価評価で1億2500万ドルの損失を発表した。

・カーギル

3月に米中通商紛争の激化や他のサプライチェーンの混乱がオリジネーションや加工などの部門の収益を引き続き押し下げたと発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米メルク、通期業績予想を上方修正 抗がん剤キイト

ビジネス

赤沢財務副大臣「特にコメントできることない」、日銀

ワールド

中国、有人宇宙船打ち上げ 飛行士3人が半年滞在へ

ビジネス

基調的な物価上昇率、徐々に高まり 見通し期間後半は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中