最新記事

セキュリティ

民生用ドローン最大手・中国DJI、米国内での組み立て製造を計画 米議会に懸念の声も

2019年6月25日(火)11時46分

民生用ドローン(小型無人機)の世界最大手である中国DJIは24日、米カリフォルニア州にある同社の倉庫でドローン製造を開始する計画を明らかにした。写真はソマリアのモガディシュでのトレーニングセッションで使用されるDJIのドローン。2017年5月撮影(2019年 ロイター/Feisal Omar/File Photo)

民生用ドローン(小型無人機)の世界最大手である中国DJIは24日、米カリフォルニア州にある同社の倉庫でドローン製造を開始する計画を明らかにした。ただ、米議会の一部では中国製ドローンについて懸念の声が上がっている。

DJIは、同社製のドローンについて米国内製造分の価値が米通商協定法の適用対象と米税関・国境警備局によって認定され次第、カリフォルニア州でドローン「マビック2エンタープライズ」の組立生産を行うとの見通しを示した。この認定によって一部の米政府機関が同社製ドローンを購入することが容易になると説明した。

DJIは「新たな投資を通じて米国での足場を拡大することで、顧客により良い形で製品を提供し、米国で雇用を創出し、米国のドローン業界を強化できる」と期待を示した。

ただ、同社は上院の商務小委員会で前週行われた公聴会で一部議員や安全保障の専門家に批判を受けている。

共和党のリック・スコット議員は公聴会で、議会が中国製ドローンの国内販売を法的に禁止すべきかどうかという問題を提起。「中国と取引をするのは異常なことだ。われわれはできる限り米国製品を購入すべきだ。中国はわれわれの友人ではない」と述べた。

トランプ大統領は今月10日付の大統領覚書で「小型無人航空機システムの国内生産能力は国家防衛に必要不可欠」と表明している。

米国防大学のハリー・ウィンゴ氏は公聴会で、米国はDJIに「過剰依存」していると指摘。同社の世界市場でのシェアは70%を超えている可能性があるとした。

米国土安全保障省は前月、米企業に対し、中国製ドローンによる企業データへのリスクについて警告している。

ただ、米国では多くの米政府機関がDJI製のドローンを使用している。

DJIは24日に上院の商務小委に出した書簡で「公聴会で提示された根拠のない憶測や不正確な情報が検証されないままとなれば、米ドローン業界全体をリスクにさらすことになると深く懸念している。影響が波及すれば経済成長を阻害し、国民を守り人命を救うためにDJI製ドローンを使う公務員が身動きが取れなくなってしまう」と警告した。

[ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金融政策の具体的手法、日銀に委ねられるべき=高市首

ワールド

最近の長期金利、「やや速いスピード」で上昇=植田日

ビジネス

米当局、エヌビディア製半導体密輸の疑いで中国人2人

ワールド

一国の経済財政担う者として金利や為替は当然注視=高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 10
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中