最新記事

米中貿易戦争

ファーウェイの次はハイクビジョン? 中国監視カメラ企業も禁輸リスト入りか

TRUMP MAY BAN CHINESE SPY CAMERA FIRM

2019年5月27日(月)17時50分
ジェーソン・マードック

監視カメラ最大手のハイクビジョン本社(杭州) REUTERS

<米中貿易摩擦が激しさを増すなかでの動きだが、理由はそれだけではない>

ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)は、監視カメラの分野で世界シェア1位の中国企業。中国各地の大都市に監視カメラ網を張り巡らせ、顔認証システムの整備などを通じて中国政府と密接な関係を築いている。

そのハイクビジョンに対し、米トランプ政権が禁輸措置を講じる可能性があることが明らかになった。ニューヨーク・タイムズ紙は5月21日、米政府が安全保障上の懸念がある外国企業を列挙した禁輸リストに、数週間以内にハイクビジョンを加えることを検討していると報じた。リスト入りすれば、米企業は政府の許可なく同社に部品などを輸出できなくなる。

米中貿易摩擦が激しさを増すなかでの動きだが、背景には中国の人権問題への懸念もある。きっかけは米議会の与野党議員43人が4月、米政府に書簡を送ったこと。彼らは新疆ウイグル自治区でのウイグル族などのイスラム教徒に対する中国当局の弾圧を懸念し、ハイクビジョンが監視システムの提供などで莫大な利益を上げていると指摘。同社と取引をすることで、米企業も弾圧に加担することになるとして輸出規制を求めた。

5月16日には中国の通信機器大手、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)が正式に禁輸リスト入りし、世界に衝撃が走ったばかり。ニューヨーク・タイムズの報道を受けてハイクビジョンの株価も、急落している。

<2019年6月4日号掲載>

【参考記事】ファーウェイたたきはトランプの大博打

20190604cover-200.jpg
※6月4日号(5月28日発売)は「百田尚樹現象」特集。「モンスター」はなぜ愛され、なぜ憎まれるのか。『永遠の0』『海賊とよばれた男』『殉愛』『日本国紀』――。ツイッターで炎上を繰り返す「右派の星」であるベストセラー作家の素顔に、ノンフィクションライターの石戸 諭が迫る。百田尚樹・見城 徹(幻冬舎社長)両氏の独占インタビューも。


ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、レアアース採掘計画と中朝国境の物流施設

ビジネス

英BP、第3四半期の利益が予想を上回る 潤滑油部門

ビジネス

中国人民銀、公開市場で国債買い入れ再開 昨年12月

ワールド

米朝首脳会談、来年3月以降行われる可能性 韓国情報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中