最新記事
ロシア軍

ロシア軍は超能力を使っている?

Russian Military Uses Psychics Claims Ministry Magazine

2019年4月5日(金)16時00分
ブレンダン・コール

1941年、ナチス・ドイツとの戦いに向けて行軍した歴史的軍事パレードを記念する行事(2018年11月7日) Maxim Shemetov-REUTERS

<政府公認の出版物が超能力の使用を肯定する記事を掲載して、国内でも驚きの声があがっている>

ロシア国防省の公式機関誌に掲載されたある記事が話題になっている。ロシア軍が超能力者と手を組み、超常現象を利用した戦術で兵士を支援したり、イルカを使ってテレパシー実験を行っている、という内容だ。

この記事は陸軍ダイジェスト誌に掲載されたもので、「未来の戦争に対応するスーパー兵士」というタイトルがつけられている。記事では、鍵のかかった金庫に保管している書類の内容を、鍵を開けずに超能力者に読み取らせることに成功したといった、ロシア軍が行った奇妙な実験の数々が紹介されている。

この記事が最初に公開されたのは2月だったが、4月に入り、ロシアのRBC誌や、政府に批判的なノーヴァヤ・ガゼータ紙、ニュース系ウェブメディアのメデューサなどが相次いで取り上げたことで、にわかに注目を集めている。超能力を肯定する内容の記事が、政府公認の出版物に掲載されたことに、識者からは驚きの声があがっている。

この記事を書いたニコライ・ポロスコフは、チェチェンやシエラレオネでの軍事作戦に参加した経験を持つ人物だ。そのポロスコフによると、1980年当時のソ連軍で、科学者たちが超常的な能力を使う方法を開発したという。「いわゆる変性意識状態にある人間から情報を引き出す」ことが目的だった。

ポロスコフはさらに、この手法がチェチェンでの軍事作戦で実際に用いられたと記している。その目的は、「敵対勢力の計画や、部隊の編成、武器を暴く」ことだったという。

遠隔地からの尋問も

さらにポロスコフは、ロシアには、テレパシーを使って囚人を尋問する専門家が存在すると述べている。この能力は、イルカを使った実験で磨かれたものだという。

「彼らはイルカに芸をするようテレパシーを送った。それが、人間にも使えることが判明した」とポロスコフは書いている。

2月の記事では、超常的な能力を活用した戦術が、外国語の習得や負傷した兵士の治療、待ち伏せの察知といった任務で、兵士の支援に用いられていると主張している。超能力でコンピューターをクラッシュさせることも可能だという。

記事によると、テレパシーを使った「言葉を使わない尋問」は、敵軍の兵士が寝返りの誘いを受け入れる余地があるかどうかを判断するのに役立つという。また「超能力的な対抗手段」は、特殊部隊の兵士が敵の尋問に耐え、秘密を守るのにも役立っている。

雑誌「ロシアの兵士」の分析部門でトップを務めるアナトリー・マトビチュクは、RBC誌の取材に対し、旧ソ連の科学者が超能力に関わる分野の研究を行っていたことは事実だと述べた。こうした研究は、特に1960年代から1980年代にかけて盛んに行われたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中