最新記事

中国

マクロン大統領も対中ダブルスタンダード

2019年4月1日(月)13時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

マクロン大統領:

●今年は仏中国交樹立55周年で、仏中はこれまで大きな成果を上げてきた。

●仏中の戦略パートナーシップを基軸として、今後も協力を強化したい。

●中国はフランスにとって信頼できるパートナーで、フランスはそのことに自信を持っている。

●フランスは中国とともに多国間主義を貫き、保護主義を受け入れず、気候変動などにおいても協力していく。

●仏中は、航空宇宙・原子力・金融・農業・高齢者問題などで協力する。

●フランスの「未来工業計画」と中国の「中国製造2025」をマッチングさせながら協力を進めていく。

●中国の「一帯一路」イニシアチブともマッチングさせた発展を考えている。

●EUの連携性と「一帯一路」を結び付けたい。

●特に習近平国家主席が推進している「一帯一路の第三国モデル」を進めるべく、このあと協力文書にサインしたい(次項「3」で説明する)。

マクロン大統領の発言に習近平国家主席は満足げな笑みを浮かべながら、一つ一つうなずいた。

中仏首脳発言の分析

おおむね以上のような発言が注目されるが、その中で、いくつかの発言に関して以下に説明を加えたい。

1.中仏は1964年に国交を結んでいる。ヨーロッパの先進諸国ではフランスが最も早い。イギリスは1950年に代理大使を北京に派遣はしたものの、正式の国交樹立は1972年3月13日。ドイツは同年10月11日で、いずれもキッシンジャーの忍者外交による北京入り(1971年7月9日)があった後だ。イタリアだけはそれより少し早い1970年11月に中国と国交を結んでいる。ちなみに中国は1972年10月25日に国連に加盟している。

フランスだけが早かったのは、中国の原爆実験成功と深く関係している。毛沢東は朝鮮戦争の時にアメリカから中国に原爆を落とす可能性を示唆されて以来、どんなことがあっても原爆を持とうとした。そこでフランス・パリにあるキューリー研究所に留学していた銭三強博士に帰国を命じ、原爆実験に着手させた。このとき多くの中国人研究者がキューリー研究所から戻っているが、2回もノーベル物理学賞を受賞したマリー・キューリーの娘であるイレーヌ・ジョリオ・キュリーは毛沢東にエクサイティングな言葉をプレゼントしている。すなわち「もし原爆に反対するのなら、自分自身の原爆を持ちなさい」という名言だ。そして彼女は「中国が原爆実験に成功したら、そのときフランスは中国と国交を結ぶでしょう」と約束した。それくらいキューリー研究所はフランス国家に力を持っていたということにもなろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア中銀、予想通り金利据え置き 利下げ余地

ワールド

イラン最高安保委事務局長ラリジャニ氏が死亡=イスラ

ワールド

EU、ロシアとのエネ取引意向ない=カラス外交安全保

ワールド

EU、米国の「予測不能性」織り込み=カラス上級代表
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中