最新記事

米朝首脳会談

北朝鮮、金正恩のベトナム訪問団が経済視察 成功体験参考に

2019年2月28日(木)10時20分

米朝首脳会談のためベトナムを訪れている金正恩朝鮮労働党委員長の随行団は、ハノイを出発し、工業都市ハイフォンにある工場や世界遺産の観光地、ハロン湾を視察した。写真は米朝首脳会談時の同委員長。ハノイで撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)

米朝首脳会談のためベトナムを訪れている金正恩朝鮮労働党委員長の随行団は27日、ハノイを出発し、工業都市ハイフォンにある工場や世界遺産の観光地、ハロン湾を視察した。米国とかつて敵対関係にあったベトナムの経済的成功の模倣を狙う金委員長の姿勢が鮮明となった。

トランプ米大統領は27日、ツイッターに、北朝鮮が非核化すれば、ベトナムのような繁栄を手にすることができると書き込んだ。

金委員長は昨年6月の1回目の米朝首脳会談でシンガポールを訪れた際、シンガポールの経済発展に感銘を受け、同国から多くを学びたいとコメントしていた。

今回の訪問先ベトナムは、1980年代後半に「ドイモイ(刷新)政策」を打ち出して以降、繁栄を遂げてきた。金委員長は、ベトナムの成功体験から学ぼうとする考えを前面に出した。

北朝鮮の外交および経済政策の責任者で構成される随行団は、ハイフォンで自動車メーカーのビンファスト、スマートフォンメーカのビンスマート、農産品・食品メーカーのビンエコの工場を視察。3社は複合企業ビングループの傘下にある。ビンスマートは昨年、同社初のベトナム製スマホ「Vスマート」を発売しており、ビンエコは持続可能な農業を推進している。

トランプ大統領との会談を控えていた金委員長は視察団に加わらなかった。

韓国の中小企業銀行(IBK)で北朝鮮経済を専門にするCho Bong-hyun氏は、「ベトナムのドイモイは、一党体制の維持を目指す一方で成長に向けて大胆な経済改革を追求している北朝鮮にとって理想モデルだ」と指摘した。

視察団を率いたのは李洙墉(リ・スヨン)朝鮮労働党副委員長で、経済政策の最高責任者である呉秀容(オ・スヨン)党副委員長が初めて加わった。呉氏は電子工業相を務めた経験があり、ベトナムの成功体験を参考にするという金委員長の狙いがうかがえる。

ビンファストなどの3工場やハロン湾を視察先に選んだ背景には、金正恩氏による「最先端技術」や自立的な経済の追求があるとみられる。

ハロン湾を昨年訪問した観光客は1200万人以上に上った。北朝鮮は東部・元山や中国との境界にある白頭山麓の三池淵郡で観光客向けのリゾート施設を計画している。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞はベトナムの「高い潜在力」と農業への依存度が高い経済から「産業構造を多角化」しようとする取り組みを称賛した。

[ハノイ 27日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプの大誤算
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月14号(4月7日発売)は「トランプの大誤算」特集。国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

宇宙船オリオン、4人乗せ地球に無事帰還 月の裏側を

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産

ワールド

イラン交渉団がパキスタン到着、レバノン停戦要求 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中