最新記事

トランプ政権

ドイツ銀行はトランプの融資要請を断っていた

Deutsche Bank Denied Donald Trump Loan in 2016: Report

2019年2月4日(月)18時30分
クリスティーナ・チャオ

トランプはドイツ最大のドイツ銀行と親密だった(写真はフランクフルト本店) Kai Pfaffenbach-REUTERS

<トランプは大統領候補だった2016年、英名門ゴルフ場の買収・改修にかかる費用をめぐってドイツ銀行から「NO」を突きつけられていた>

ニューヨーク・タイムズが2月3日に伝えたところでは、ドイツ銀行は2016年の米大統領選挙中、当時のドナルド・トランプ大統領候補への大型融資を断っていた。トランプはスコットランドのターンベリーにあるゴルフ場の改修費用を工面しようとしていたという。

ドイツ銀行幹部は融資の可否を審査したが、リスクが多すぎると判断した。3人の関係者がニューヨーク・タイムズに語ったところでは、与信審査にはのちのドイツ銀行CEOも加わり、トランプが金のかかる大統領選に出馬し、しかも敵と味方を分ける危険な戦略をとっていたことから、トランプに金を貸すリスクは高まったと考えたという。

逆にトランプが当選すれば、たとえトランプが債務不履行に陥っても大統領の資産を差し押さえるのは容易ではないという懸念もあったという。

トランプ・オーガニゼーションの広報担当者はトランプがドイツ銀行に融資を求めたことはないとし、融資を受けなくとも自力でゴルフ場の改修はできた、と主張した。

「この記事はまったくのでっち上げだ」と広報担当者はニューヨーク・タイムズに述べた。「わが社はトランプ・ターンズベリー(ゴルフ場)の買収も改修も自己資金で賄った。融資が必要になったことは一度もない」

下院情報特別委員会が調査の動きも

ニューヨーク・タイムズによれば大統領選挙でトランプは金を湯水のように使った。「2016年初めの時点で、彼は数千万ドルを自らの選対に貸し付けていた。それ以前にも、トランプ・オーガニゼーションの高級物件買収のために多額の投資をしていた」とニューヨーク・タイムズは伝えている。「事業拡大の資金を得るために、トランプ氏は古くからの盟友であるドイツ銀行に頼ろうとした。ドイツ銀はこの時点においてもまだ、自らを『借金王』と呼ぶ男(トランプ)への融資に前向きな数少ない金融機関の1つだった」

アメリカの銀行は、債務不履行や破産を繰り返してきたトランプへの融資に慎重だった。だがトランプと長年、友好関係にあったドイツ銀行は、そうしたリスクを冒してきた数少ない銀行の1つだった(トランプとの取引を足場にアメリカでの取引を拡大したいという思惑もあった)。1998年にドイツ銀行はトランプに、ある高層ビルの改装費として1億2500万ドルを貸し付けた。それから17年の間にドイツ銀行が関係したトランプ関連の融資は総額25億ドルを超えたという。

トランプとドイツ銀行が、いずれもロシアとつながりをもっている点も興味深い。ドイツ銀行は2017年には、ロシアの顧客の100億ドルにのぼる資金洗浄を手伝った罪で英米当局から6300万ドルの罰金を命じられたこともある。

米下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党)は、長年にわたるドイツ銀行とトランプとの関係について調査を行うつもりだと語った。民主党のマクシーン・ウォーターズ委員長率いる下院金融委員会も、ドイツ銀行からトランプへの融資について調査を行っている。

(翻訳:村井裕美)

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウーバーに米陪審が850万ドル支払い命令、運転手に

ビジネス

ウィンクルボス兄弟の暗号資産交換所が最大200人削

ワールド

米・アルゼンチン貿易協定、米製品優遇と重要鉱物協力

ワールド

韓国外相、投資意図的に遅らせずと米に伝達=聯合ニュ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 10
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中