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中共中央「マリオ」パクリと即刻削除の怪を読み解く――中国政府高官を取材

2019年2月4日(月)14時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

Q:習近平は国家戦略「中国製造2025」を進めていますが、そこには、「半導体などのコア技術を自給自足できないようでは、発展途上国のままだ」という精神がありますよね。

A:その通りだ。

Q:だとすれば、「中国製造2025」を達成させるために知財権侵害をしている可能性は大いにあるし、また知財権を守れるようにならなければ、これもまた発展途上国のままだと言えるでしょう。その意味では「中国製造2025」を達成しても、中国は精神的には発展途上国のままということが言えませんか?

A:それも認める。中国はまだまだ進歩し、改善し、発展しなければ西側諸国と同列にはなれない。改革開放から、わずか40年しか経ってないのだから......。しかし、文革を経験したわれわれとしては、わずか40年で、よくぞここまで来たという思いもある。だからやはり少しは進歩するだろうと信じたい。

言いたいことは尽きないが、彼が中国の非を認め反省しているのであれば、これ以上詰め寄ることもできまい。

彼の遠い親戚は、革命戦争当時の1948年、筆者と同じく長春で食糧封鎖に遭い、餓死している。だから筆者の中国政府に対する抗議を、理解してくれている。拙著『チャーズ 中国建国の残火』や『毛沢東 日本軍と共謀した男』の中国語版を彼は読んでいるが、しかし彼はこれに関して一言たりとも、何も言ったことがない。事実と認めてくれている証拠だと解釈し、こちらも一言もこれに関しては触れない。

長くなった。今回は、ここまでとしようか。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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