最新記事

米移民

米移民収容施設で、ハンスト中の収容者を鼻チューブで虐待か

ICE Force-Feeding Immigrant Detainees on Hunger Strike with Nasal Tubes

2019年2月1日(金)14時30分
シャンタル・ダシルバ

長期に及ぶ収容への不満も大きい(写真はカリフォルニア州アデラントの移民収容施設) Lucy Nicholson-REUTERS

<職員による虐待や劣悪な環境に抗議するハンストが、全米の移民収容施設で多発するなか、人命救助という名の残虐な報復が待っていた>

米移民・関税執行局(ICE)の職員が、テキサス州の移民収容施設で1カ月前からハンガーストライキを続けている収容者に、しばしば苦痛を伴う経鼻管で強制的に食事を流し込んでいたことが、AP通信の報道で明らかになった。

取材に応じた収容者によると、インドとキューバからの移民少なくとも30人がハンストを継続中で、うち何人かは衰弱して立ち上がることや話すことも困難になっている。

施設職員から受けた言葉による虐待や強制送還の脅しに抗議してのハンストだという。移民認定の手続きの間、収容が長期に及んでいることも不満だ。

もっともICEによると、テキサス州エルパソのこの収容センターでハンストを行っているのは30人ではなく11人だけだが、そのうち何人かは30日間以上ハンストを続けている。

鼻血や嘔吐の症状も

鼻から喉の奥までチューブを通すのは苦しいため、経鼻管は拷問やハンストを止めさせる手段としても使われる。だがICEのレティシア・ザマリパ広報官は、エルパソ収容センターの少なくとも6人については、連邦裁判所から経鼻管による栄養補給をする許可を得た、とAP通信に語っている。

<参考記事>イスラエルが考え出した新たな「拷問

インド・パンジャブ州出身の親族が2人、収容されているというアムリット・シンは、2人は経鼻管を強制されているため日常的に鼻血が出たり、一日に何度も嘔吐したりしている、とAP通信に語った。

「(収容者の2人は)体調が良くない。体が本当に弱って、話すこともできないし、入退院を繰り返している」と、シンは言う。「2人は、なぜいまだに施設に入れられているかを知りたいし、早く移民法の適用を受けて市民権を得たいと望んでいる」

ICEのザマリパ広報官は、虐待を非難する収容者からの声にはコメントせず、エルパソ収容センターは連邦基準に則って収容者を扱っている、と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、約4年半ぶり大幅増 季調要因の

ビジネス

米国株式市場・午前=ナスダック一時1週間ぶり安値、

ワールド

プーチン氏、マドゥロ政権に支持表明 経済協力も協議

ワールド

米印首脳が電話会談、二国間関係や国際情勢など協議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中