最新記事

アメリカ経済

AGFA+Netflixの「FAANG」株、人気の時代は終幕か?

2018年12月22日(土)09時33分

12月20日、いわゆるモメンタム投資は全てがバラ色に包まれているわけではない。写真はフェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル各社のロゴ(2018年 ロイター)

いわゆるモメンタム投資は全てがバラ色に包まれているわけではない──。これは20日のニューヨーク株式市場でナスダック総合が弱気相場に片足を突っ込んだ中で、投資家が味わった苦い教訓だ。

長期にわたる米国株の強気相場が終盤に差し掛かってもなお、今まで投資家はさらに値上がりしそうだとみなされた一連の銘柄に買いを入れ、多大な利益を手にしてきた。だが足元で潮目が変わり、投資家は十分素早く逃げ出すことができないように見える。

モメンタム投資の代表格は、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アップル、ネットフリックス、アルファベット子会社グーグルの頭文字を合わせた「FAANG」銘柄の買い。

こうした取引についてロバート・W・ベアードの機関投資家セールス取引担当マネジングディレクター、マイケル・アントネッリ氏は「幕が下りた。もはや箸にも棒にもかからない。『FAANGトレード2009─18』という墓碑銘が刻まれている」と述べ、5社の成長率とバリュエーションの高騰は最終的にストップしたと付け加えた。

20日のナスダック総合終値は、8月29日に付けた最高値から19.5%下がり、2割安という弱気相場入りの正式認定が目前になった。8月終盤以降のFAANGの下落率は19─30%程度だった。

ナスダック総合構成銘柄のいくつかはもっと大きく下げているとはいえ、時価総額や投資家層の幅広さから言ってもFAANGの指数全体に対する影響力は抜きんでている。

アップルを除くFAANGの予想利益に基づく株価収益率(PER)は、依然としてS&P総合500種の15.3倍を相当上回っている。それでも株価急落に伴ってPERは下がっており、アマゾンとネットフリックスの下振れ幅が最も大きい。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は「FAANGのバリュエーションをきっちり把握するのは非常に難しい。多くの部分が将来の話だからだ。投資家は彼らが描く未来図に喜んで対価を支払う場合もあるし、そうでない場合もある。今は対価を払うのを渋っているようだ」と話した。

ただしハイテク株は経済全体の減速が予想される局面で堅調さを保つ可能性があり、積極的には資金を引き揚げない投資家もいる。

インベスコのチーフ・グローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏は、FAANGに関して投資家の側に選別化・差別化の姿勢が強まっていて、この傾向は続くと予想。「FAANGの一部にとって買い場が提供されるのは間違いないが、全ての買い場になるわけではない」と説明した。

(Chuck Mikolajczak、Caroline Valetkevitch記者)

[ニューヨーク 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エールフランスKLM、スカンジナビア航空への出資率

ワールド

ドイツ、国防強化で志願兵制度を計画 期間6カ月

ワールド

ベトナム第2四半期GDPは前年比+7.96%、輸出

ビジネス

英企業、米国への投資意欲後退 自国評価は上向く=調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 3
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 9
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 10
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中