最新記事

事件

マレーシア当局、前政権の1MDB汚職事件でゴールドマンを起訴 元社員ら4人も

2018年12月18日(火)18時21分
大塚智彦(PanAsiaNews)

12月17日、マレーシア政府は、政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)を巡る汚職・資金洗浄疑惑捜査に関連して、米金融大手ゴールドマン・サックスを証券関連法違反の疑いで刑事訴追した。写真は1MDBのロゴ、2015年7月撮影(2018年 ロイター/Olivia Harris)

<マレーシアの政権交代に発展した政府系投資会社がらみの汚職事件は、大手金融会社の刑事訴追に発展した>

マレーシアのナジブ・ラザク前政権の汚職、不正資金事件を捜査しているマレーシア司法当局は12月17日、マレーシアの政府系投資会社「1マレーシア・デベロップメント(1MDB)」による巨額の不正資金問題に関連して米大手金融会社の「ゴールドマン・サックス(GS.N)」を証券関連法違反容疑で起訴した。

マレーシア政府のトミー・トーマス法務長官が声明で明らかにしたところによると、ゴールドマン・サックス社と元社員を含む4人の個人を、1MDBから27億ドルを流用した容疑で起訴したもので、同社に対する高額の罰金と共に4人の被告には最大で禁固10年を求刑することになるとの見通しを示した。

マレーシア各紙の報道などによるとゴールドマン・サックス社側は容疑を一貫して否認する一方で「マレーシアの前政権と1MDBの一部社員が、調達した資金の使途についてゴールドマン・サックスに対して虚偽の報告をしていた」と主張、司法の場で事実関係を明らかにするとして法廷で争う方針だという。

起訴されたのはゴールドマン・サックス社と同社元幹部のティム・ライスナー氏、ロジャー・ウン氏、1MDBの元社員、そして一連の不正を主導したとされている中国系実業家のジョー・ロー氏の4人。

マレーシア司法当局のこれまでの捜査で、2009年にナジブ政権の肝いりで設立された1MDBは、2009〜14年にかけて役員らが推定で45億ドルの資金を流用した疑いが持たれ、このうち2012〜13年にかけて1MBDが発行した計65億ドルの債券のうちの27億ドル分が不正流用され、ゴールドマン・サックス社は債券引き受けで約6億ドルの手数料を不法に得たとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム株式市場が上昇、次期共産党指導部候補選定を

ワールド

欧州新車販売、5カ月連続増 EVがけん引

ワールド

ロシアの穀物輸出停滞、原因は世界的な価格低迷と副首

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中