最新記事

日本政治

臨時国会、日米通商交渉・入管法改正案など与野党対決色強まる

2018年10月24日(水)08時51分

さらに安倍首相が強い意欲を示す憲法改正に向けた衆参両院の憲法審査会の動きも、臨時国会における大きなポイントだ。

自民党は憲法9条への自衛隊明記を柱とする党の改憲条文案を憲法審に提示し、議論を進めたい考え。野党側は改憲の是非を問う国民投票でのテレビCM規制を優先すべきとし、自民党案の議論を拒む方針だ。

<予算委で日米通商交渉の論戦も>

さらに予算委員会では、来年1月からスタートする日米通商交渉も議論の対象となる可能性がある。9月の日米首脳会談後、安倍首相はじめ日本政府側は、農産物の大幅な関税引き下げにつながる自由貿易協定(FTA)ではないと説明した。

だが、米側はFTAと説明したうえで、環太平洋連携協定(TPP)以上の優遇措置を獲得する意欲を鮮明にしている。与党内でも交渉を担当する「茂木敏充経済再生相の答弁が注目される」(幹部)との声が上がっている。

こうした与野党対決ムードをさらに強める要因が浮上した。国民民主党の長浜博行参院議員が離党し、衆参両院で立憲民主党が野党第1党となり、衆院だけでなく、参院でも与党に対決する野党の主張が強まる見通しだ。立憲の蓮舫副代表は23日の会合で、野党の連携強化に意欲を示した。

臨時国会は24日から12月10日までの48日間。安倍首相の外交日程が立て込む中で、野党側の抵抗が強まれば、重要法案の審議が与党の想定通りに進まず、会期延長が与党内で議論される展開も予想される。

自民党の二階俊博幹事長は18日、記者団に対し「足りないときには、また考える」と述べ、会期延長に含みを持たせている。

新閣僚の答弁次第では、大荒れになる可能性もあり、臨時国会は冒頭から目を離せない展開になりそうだ。

(竹本能文 編集:田巻一彦)



[東京 23日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中