最新記事

日本政治

臨時国会、日米通商交渉・入管法改正案など与野党対決色強まる

2018年10月24日(水)08時51分

臨時国会では、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案が、与野党の対決構図となりそうだ。2000年8月撮影(2018年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

24日に召集される臨時国会では、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案が、与野党の対決構図となりそうだ。また、自動車・農産品で大幅譲歩を迫られる可能性がある日米通商交渉を巡って論戦が激化する可能性があり、早くも会期延長の思惑も出ている。

政府・与党はまず、2018年度補正予算案を審議し、早ければ11月上旬の成立を目指している。そのうえで入管法改正案や国民投票法改正案、水道法改正案など計13本の法案を提出する予定。

法案提出件数は、2012年12月の第2次安倍内閣発足以降、臨時国会で最も少ない。

安倍晋三首相は24日に所信表明演説後、25日から訪中し習近平国家主席らと会談。その後、シンガポールで11月11日から開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席し、さらにパプアニューギニアで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)などにも参加する予定で、首相出席が必要な審議日程が制約されるため、法案を絞ったとみられる。

こうした点を踏まえ、政府・与党は29日に代表質問をスタートさせ、首相出席が求められる衆参予算委員会での補正予算案審議は、11月上旬までに終えたい意向だ。

ただ、その後の国会審議は、不透明感が濃い。政府が重要法案と位置付ける入管法改正案では、新たな在留資格として一定の知識や経験が必要となる「特定技能1号」と、熟練した技能が必要となる「特定技能2号」の2種類を創設。2号では、在留期限が撤廃され家族の帯同が認められる。労働法の専門家の間では、単純労働者の受け入れを原則禁じてきた従来方針からの抜本的転換とみられている。

これに対し、野党側は事実上の移民法案であり、移民は認めないとしてきた政府見解に反する内容だと追及する方針。そのうえで改正案を首相出席の委員会審議が必要な「重要広範議案」に指定するよう要求し、徹底審議を求めていく。

また、与党内の一部にも「女性や高齢者などの労働参加拡大が、優先されるべきでないか」(与党関係者)との慎重意見がくすぶっており、国会論戦を通じて、世論がどのように変化していくのかも、法案成立の行方に影響を与えそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

株式・債券ファンド、いずれも約120億ドル流入=B

ワールド

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入

ビジネス

アングル:米ダウ一時4万ドル台、3万ドルから3年半

ワールド

北朝鮮、東岸沖へ短距離ミサイルを複数発発射=韓国軍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中