最新記事

中国

日中首脳会談に望む──習近平は「一帯一路」で「宇宙支配」を狙っていることに気づいてほしい

2018年10月22日(月)14時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

2014年11月10日、北京APECで日中首脳会談 Kim Kyung-Hoon-REUTERS

まもなく日中首脳会談が始まる。会談すること自体は否定しないが、「一帯一路」協力を約束することだけは避けてほしい。習近平は一帯一路で「宇宙支配」を狙っているからだ。その関連性に関して再度詳細に考察する。

「一帯一路」と中国の「宇宙支配」との関連性

「一帯一路」と「宇宙支配」の関連性に関して、10月16日付のコラム「日本は中国との闘い方を知らない」で少し触れたが、ここでは、その根拠を具体的に示したいと思う。

2014年4月14日、習近平・中央軍事委員会主席は空軍機関で檄を飛ばし、「天空を一体化する軍隊を立ち上げ、攻撃と防御を兼ね備えた強大な人民空軍を建設していくことを加速させねばならない。そうしてこそ、"中国の夢"と"強軍の夢"を実現させるために堅固な力を掌握することができるのだ」と強調した。

ここでいう「人民空軍」とは「中国人民解放軍・空軍」のことで、「天」というのは「宇宙」のことである。「天空を一体化した軍隊」とは、すなわち「空軍は宇宙軍を一体化せよ」ということになる。この時点で「宇宙軍」という概念を示唆している。

また、2018年9月13日、北京で「空中シルクロード国際航空協力サミット」が開催された。主宰したのは中国航空工業集団有限公司で、一帯一路沿線国の航空関係者代表が参加し、「空中シルクロード聯盟」を結成することが提唱された。

サミットに参加した国務院国有資産監督管理委員会・国際合作局の張発衛副局長は以下のように述べている。

──「空中シルクロード」は「一帯一路」建設の次元を2次元から3次元に高めていくもので、陸や海洋の間の重要拠点をつないでいくだけでなく、空をもつなぐわけです。中国航空工業集団が提唱する「空中シルクロード」は、「一帯一路」沿線国家のうち、発展途上国にある国々の航空産業発展を強化し、航空事業の突破口として頂くために提案された方策です。製造、建設、運営、融資などの機能を一体化し、産業連盟を結成して、「一帯一路」沿線国家のプラットフォームに中国方案を利用していただこうと考えております。

ということは、「一帯一路」は「陸と海の新シルクロード経済構想」だけではなく、「陸と海と空の新シルクロード経済構想」だということになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中