最新記事

中国

日中首脳会談に望む──習近平は「一帯一路」で「宇宙支配」を狙っていることに気づいてほしい

2018年10月22日(月)14時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

一方、2016年12月27日に発布された『2016年 中国宇宙』白書によれば、今後5年間で優先分野における豊富な国際宇宙交流と協力を展開するとして、その中の一つに「一帯一路」を挙げている。具体的には:

──「一帯一路」宇宙情報回廊の構築を完成させ、地球観測・通信放送・衛星ナビゲーションなどの人工衛星の研究開発、地上システムと応用システム、応用製品の開発などを通して、「一帯一路」沿線国を宇宙から支援する。

というものである。

「支援する」という言葉は響きがいい。しかし実際は「支援」「協力」の名の下に、宇宙空間に「唾を付ける」ことになる。

2022年からは正常に機能し始める「中国の宇宙ステーション」(天宮)を基地として、一帯一路沿線国の内の経済的にあまりゆとりのない国々に「手を差し伸べ」、人工衛星を打ち上げてあげたり、メインテナンスを代替してあげたりなどして、「宇宙の実効支配」に入るのである。

トランプはこのことを知っているので、対中強硬姿勢を取り、アメリカも「宇宙軍」を創設すべきと主張しているのである。日本の多くのメディアはトランプを「正常ではない」としてせせら笑う傾向にあるが、それは日本国民が中国の実態を知らないからだ。

夕刊フジ「風雲永田町」に二階幹事長の考え方が

今年10月20日付け(19日発行)の夕刊フジにある「風雲永田町」というコラムに鈴木棟一氏が、自民党二階幹事長が話した内容を書いておられる。それによれば二階氏は「昨年5月、安倍首相から『一帯一路』国際協力ハイレベルフォーラムに日本を代表して出席せよ、ということで、首相の(習近平宛ての)親書をお預かりして参加した」と述べたそうだ。

二階氏はさらに「一帯一路の運営においては、国際社会のルールや考え方を十分に取り入れていくことが大切であり、今後も慎重に見ていく必要がある」としながらも、「一帯一路は多様な地域を結びつけ、世界の安定と繁栄に大きく寄与する可能性を秘めている。目の前のチャンスがあれば、日本としても官民が一体となって積極的に参加していくことが望ましいのではないか」と積極的な評価を「一帯一路」に対して与えているとのこと。

安倍内閣は、習近平の「一帯一路」を通した「宇宙支配への狙い」をご存じないのだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、利下げ急がず 緩和終了との主張も=10月理

ワールド

米ウ協議の和平案、合意の基礎も ウ軍撤退なければ戦

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中