最新記事

医療

ノーベル医学・生理学賞、免疫システムによるがん療法で本庶佑氏とアリソン氏に

2018年10月1日(月)19時40分

10月1日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、今年のノーベル医学・生理学賞を、免疫システムを用いたがん療法で画期的手法を開発した米国のジェームズ・アリソン博士と京都大学の本庶佑・特別教授に授与すると発表。同研究所で撮影。提供写真(2018年 ロイター/TT News Agency/Fredrik Sandberg via REUTERS)

スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、今年のノーベル医学・生理学賞を、免疫システムを用いたがん療法で画期的手法を開発した米テキサス大のジェームズ・アリソン教授と京都大学の本庶佑・特別教授に授与すると発表した。

日本人の同賞受賞は2016年の大隅良典氏に続く、2年ぶりの快挙。

「2人のノーベル賞受賞者の多大な発見は、がんとの闘いにおいて画期的な出来事だ」と同研究所は語った。2人には賞金900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)が授与される。

「大変名誉なことだと喜んでいる」と本庶氏は京都大学で同日行われた記者会見で語った。「このような賞をいただき、私は幸運な人間だと思っている。今後、免疫療法がこれまで以上にガン患者を救うように、私自身も研究を続けたいと思っている」

小野薬品工業と米製薬大手のブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)が共同開発したがん治療薬「オプジーボ」は、この画期的手法を生かしたもの。

小野薬は「この度のノーベル賞受賞には心よりお喜び申し上げます」と祝意を示した上で「発見された免疫制御分子PD―1から開発した抗PD―1抗体を抗がん剤として医薬品化した私たちの使命は、できる限り早く、より多くの患者に届けること。今後とも、その使命を全うすることに努めていきたい」とのコメントを発表した。

ノーベル賞は1日の医学・生理学賞を皮切りに、2日に物理学賞、3日に化学賞、5日に平和賞、8日に経済学賞が発表される。今年は文学賞の発表はない。

[ストックホルム 1日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250128issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

トランプ氏の仮想通貨「$トランプ」急騰、一族企業も

ワールド

トランプ米大統領、北極圏で石油掘削禁じる23年の措

ワールド

ハンガリー首相、トランプ氏就任でEUでの右派勢力拡

ビジネス

東京市場はトリプル高でスタート、トランプ関税の初日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブーイングと擁護の声...「PR目的」「キャサリン妃なら非難されない」
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 7
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中