最新記事

アメリカ外交

トランプ言いたい放題 国連演説で北朝鮮持ち上げ、中国、イランをこき下ろす

2018年9月26日(水)07時41分

 9月25日、トランプ米大統領が国連総会で演説に臨んだ。写真は国連本部で同日撮影(2018年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領は25日の国連総会演説で、イランを「腐敗した独裁体制」と批判、グローバリズムを拒否し自国の国益を守る方針を表明した。

北朝鮮について、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の取り組みを評価する考えを示した。

トランプ氏は35分間の演説で「選挙で選ばれず、説明責任もない世界の官僚主義に米国の主権を譲ることは決してない」「米国は米国人が統治する。グローバリズムを拒否し、愛国主義の精神を尊重する」と述べた。

「今後は、米国の立場を尊重する、率直に言えば友人関係にある国にのみ海外支援を供与していく。そして他国が防衛費の公正な割合を負担するよう期待する」と語った。

中国の通商慣行も批判したが、シリア内戦や米大統領選へのロシア関与疑惑について言及しなかった。

「イランの指導層は大混乱や死、破壊の原因を作った」「近隣国や国境、諸国の主権を尊重していない」と指摘。「追加制裁を11月5日に再開させ、追加措置も続く。イラン産原油を輸入する国々が買い入れを大幅に減らすよう連携している」と説明した。

石油輸出国機構(OPEC)加盟各国に対し、原油価格の値上げを止めることなどを呼び掛けた。

北朝鮮について、金氏の取り組みを評価する一方、さらなる行動が必要とし、非核化が実現するまで制裁措置を継続と強調した。

トランプ氏は「ミサイルやロケットはもはやどこも飛行しておらず、核実験も停止しているほか、軍事施設の一部はすでに廃棄されている」とした上で「金委員長の勇気と対応に感謝したい。とはいえ依然なすべき多くの取り組みが残されている。非核化が実現するまで制裁は継続する」と語った。

また北朝鮮問題を巡り、安倍晋三首相や、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領、中国の習近平国家主席の名前を挙げ、それぞれの支援に対し感謝の意を表明した。ただ、中国と韓国を巡っては、北朝鮮への制裁姿勢が甘いのではないかとの見方もある。

トランプ氏は昨年の国連総会演説では、北朝鮮の「完全な破壊」に言及していたほか、金氏を「ロケットマン」などと揶揄(やゆ)していた。



[ニューヨーク/国連 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中