最新記事

南シナ海

中国、海上自衛隊が南シナ海で行った対潜戦訓練を強く非難

China, North Korea Warn Japan as It Conducts Drills

2018年9月18日(火)15時21分
トム・オコナー

南シナ海で行われた対潜戦訓練に参加する護衛艦「かが」と同艦載航空機 海上自衛隊

<極秘扱いの潜水艦訓練を自衛隊が発表するのは異例だが、中国をけん制する狙いがある>

中国と北朝鮮は、日本の自衛隊が実施した複数の訓練について「挑発的」で「地域の安定を損なう」ものだと反発している。

防衛省が9月17日に認めたところによれば、海上自衛隊の潜水艦「くろしお」と護衛艦「かが」「いなづま」「すずつき」および搭載航空機5機が9月13日、南シナ海で訓練を実施した。対潜水艦戦を想定した訓練で、南シナ海で領有権を主張し、複数の人工島を造成し、軍事拠点化を進める中国をけん制するのが狙い。秘匿性の高い潜水艦の訓練実施を自衛隊が公表することは異例。

詳細は発表されなかったが、朝日新聞は防衛省当局者の話として、訓練は中国が南シナ海で自国の領有権を主張するために設定した境界線「九段線」の内側で行われたと報じた。

中国外務省の耿爽報道官は17日の記者会見で、この訓練についての質問に回答。南シナ海の領有権をめぐってはASEAN(東南アジア諸国連合)加盟諸国との「話し合い」が続いているが、情勢は「安定している」と強調した上で、日本の名指しは避けつつ警告を発した。

「域外の関係国は、地域の国々が対話を通じて平和的に南シナ海問題を解決しようとしている努力を尊重し、地域の平和と安定を損なうことはすべきではない」と、耿爽は記者団に語った。

警戒する日米・反発する中朝

日本は第2次世界大戦後に憲法で平和主義を掲げる一方で近代的な軍事力を築き、中国や北朝鮮の行動に対する懸念が高まる近年は、さらなる増強に取り組んでいる。日本はブルネイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾やベトナムとは違い、南シナ海に直接領有権を主張しているわけではないが、東シナ海では中国と台湾と尖閣諸島の領有権を争っている。

日本は一番の軍事同盟国であるアメリカと共に、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が岩礁の軍事拠点化を進めていることについて、より厳しい姿勢で臨む構えを示している。アメリカは「航行の自由」を主張して、これまで周辺海域に数多くの巡視船を派遣しているが、中国は同海域での建設作業は「主権国家としての権利」だと主張し反発している。

海上自衛隊は8月にも南シナ海での訓練を実施しており、これには北朝鮮も反発を表明した。北朝鮮は南シナ海の領有権争いに関与していないが、海上自衛隊がアジア太平洋地域で米海軍と合同で訓練を実施したことを、中国と共に強く非難。国営通信社の朝鮮中央通信は「日本は平和を破壊した行為の代償を払うべきだ」と主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:5年目迎えたウクライナ戦争、戦車が消えド

ビジネス

パラマウント、WBD買収へ 第3四半期完了の見通し

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ521ドル安 イラン緊迫や

ビジネス

NY外為市場=ドル軟調、155円台後半 イラン情勢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石が発見される...ほかの恐竜にない「特徴」とは
  • 4
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 5
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 6
    トランプがイランを攻撃する日
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKI…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中