最新記事

中台関係

エルサルバドル、台湾との断交に「中国からの内政干渉受容」=米政府

2018年8月25日(土)09時28分

 8月23日、米ホワイトハウスは、台湾と断交して中国と新たに国交を樹立したエルサルバドルの決定について、米国政府にとって深刻な懸念だとして非難したほか、中国は覇権を求めるために経済的誘因を提供していると警告する声明文を発表した。写真は台北で3月撮影(2018年 ロイター/Tyrone Siu)

米ホワイトハウスは23日、台湾と断交して中国と新たに国交を樹立したエルサルバドルの決定について、米国政府にとって深刻な懸念だとして非難し、中国は覇権を求めるために経済的誘因を提供していると警告する声明文を発表した。

声明は「エルサルバドル政府が自国の内政に対する中国の明らかな干渉を受容したことは米国にとって深刻な懸念であり、エルサルバドルとわれわれの関係の再評価につながるだろう」とした。

短期的な経済成長とインフラ向けに国家主導の投資を獲得するために中国との関係樹立・拡大を望む国々は長期的には失望する可能性がある、と指摘。「世界中で各国政府は中国の経済的誘因がパートナーシップではなく、経済的依存・支配を促進するという現実に目覚めている」との認識を示した。

また、中国による「両岸関係の不安定化および西半球に対する政治的干渉」に反対し続けるとした。

台湾総統府の報道官は声明で、「公正のために意見を表明」したとして米政府に謝意を示した。「台湾は引き続き地域の安定と利益に向けて取り組み、中国の強制により民主的な自由を放棄することは決してない」とした。

一方、中国外務省の陸慷報道官は、同国とエルサルバドルとの国交樹立は「完全にまっとうで公正」だとし、米国にこの国交を「正しく受け止めるよう」求めた。

陸報道官は、中国は既に米国を含め米州の25カ国と外交関係を結んでいたとし、中国は経済発展と安全保障を積極的に推進してきたと述べた。外交関係を結ぶ国が26カ国になったことで、「なぜ安全保障と発展に影響することになるのか」と語った。

また「他国の国内情勢に関する決定を尊重し、覇権主義的な行動を控えるよう、関係国に求める」と述べた。

*内容を追加します。



[ワシントン/台北 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 5
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中