最新記事

多文化共生

過半数が中国人の団地も! 変貌すさまじい「西川口チャイナタウン」は多文化共生を探る

2018年8月23日(木)21時20分
舛友 雄大(ジャーナリスト) ※東洋経済オンラインから転載

確かに、『週刊新潮』が2010年に「チャイナ団地」と称してセンセーショナルにこの団地を取り上げたころはゴミや騒音などの問題が山積していた。だが、自治会の岡崎広樹・事務局長は「目に見える問題はなくなってきた」と話す。

この間、UR現地事務所に対して中国語を話すスタッフを駐在させるよう要求したり、新しくやってくる中国人住民に注意事項を中国語でまとめたパンフレットを配布するといった対策をとるようになった成果といえる。

自治会は「芝園かけはしプロジェクト」を推進中で、大学生ボランティアの支援を得つつ、フリーマーケットといったイベントを月1回のペースで催している。太極拳や交流カフェに実際に参加したが、中国人参加者は十数人程度で、中国人住民の関心はそれほど高くない。

自治会に入っている中国人世帯は現在約60にとどまっている。なお、自治会の幹部にはかろうじて中国人がひとり入っている。中国人には「下からの」自治会という概念自体がなかなか理解できない。岡崎さんは「別に無理やり日中友好がよい、と双方に押し付けるのではなく、前向きにいろいろと交流などに取り組める仕組みや環境があればよい」ということが見えてきたという。

川口市協働推進課の川野道広課長は日本人と外国人の習慣の違いで、「夜まで外国人がたむろしている」といった苦情を受けることがあると認める。しかし、外国人を「資源」というよりは「課題」と捉えがちな多くの保守的な自治体と違い、川口市は独自の対策を少しずつ進めようとしている。市は今年独自に定めた「多文化共生指針」を改定し、来年には外国籍生徒の日本語学習需要などに対応することを目的に夜間中学を開校することが決まっている。

本格的な中華料理店が林立

このように変化の著しい西川口チャイナタウンのもう一つの顔は、本格的な中華料理店の林立する西川口駅周辺にある。

駅近くの蕎麦屋「二幸」の主人、小久保亮治さんは「飲んで、打って、食う」ためのこのエリアが徐々に変貌していくのを目の当たりにした。過激な風俗店の数が一時は200を超えたが、2000年の半ばの摘発をきっかけにそのほとんどが消えた。

その後に増加したのが中国料理店だった。今ではこのエリアのあちこちで「麻辣湯(マーラータン)」「鴨脖(注:鴨首のスナック)」「油条(注:細長い揚げパン)」といった看板が躍っている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米株式市場の「ソフトウェアマゲドン」、買い機会か見

ビジネス

ソニーG、純利益3回目の上方修正 メモリー「最低限

ビジネス

独鉱工業受注、12月は予想外の増加 大型受注が寄与

ビジネス

ノボノルディスクの糖尿病薬、大中華圏で初の売上減 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中