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横浜周辺「水没リスク」がある鉄道は? ハザードマップに見る津波襲来ランキング

2018年7月20日(金)16時21分
内田 宗治(フリーライター)※東洋経済オンラインより転載

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津波浸水想定区域である鶴見―新子安間を走る列車(京急花月園前駅付近)。15両編成の場合、ラッシュ時なら2000人を超える乗客の避難誘導が必要になる(筆者撮影)

JR東日本横浜支社によれば、「津波注意区間に停車し、津波警報が発表されている場合は、直ちに避難を開始します。津波避難を実施するにあたり、社員一人ひとりが取るべき行動を定めた『津波避難行動心得』を制定しています」という(JRの津波注意区間とランキング表とは同一のものではない)。地域の避難場所などに乗務員らが誘導するわけである。

湘南新宿ラインの場合、15両の長大編成でラッシュ時など乗客は2000人を超える。これをわずかな人数の乗務員で避難誘導できるのか。

「ほかの列車が動いていないなどの安全を確認した後、多くのお客様に速やかに降車いただくため、列車の片側ドアを全開扉し、ハシゴ等を使用せず、いったん車内の床面に腰かけてから降車していただく訓練を行っています」

各車両にハシゴを設置する時間を省き、飛び下りたときの衝撃を少なくするためにこうした対応が適しているわけだ。

また津波注意区間外に停止した場合は、「状況把握を行い、避難誘導するかを検討します。状況により車内にとどまる場合もあります」という。

避難場所はどうやって知る?

駅間に電車が停止した場合、近くの避難場所がどこかはどうやって知るのだろうか。

「全乗務員はタブレット端末を所持しており、土地に不慣れな場所でお客さまを避難誘導する際は、タブレットにインストールされた避難誘導を補助する『津波避難ナビシステム』を使用して、避難場所まで誘導します」

このシステム等を活用しながら、乗務員が避難場所まで誘導する訓練も行っているという。

今年4月19日にJR横須賀線横須賀駅構内(ホームなし)にて、4両編成を使用して約450人の社員を乗客に見立てて津波を想定した避難訓練を行っている。この時は、車両の片側ドアを全開扉してから全員が車両から降車するまでに要した時間は約6分だった。

昨年4月14日には鶴見線浅野―新芝浦間で3両編成約150人による訓練も行った。また過去には関係自治体と協力し、地元の中学生、高校生の参加のもとでの訓練を実施したこともあるという。また今年9月1日には、一般公募した1500人により、横須賀駅構内での降車、避難訓練を計画している。

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