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北朝鮮情勢

中国はなぜ金正恩訪中を速報で伝えたのか?──米中間をうまく泳ぐ金正恩

2018年6月20日(水)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

実際の映像は少しずらして放映

それでも中央テレビ局CCTVは、実際の映像を少しずらして放映した。

たとえば夕方のニュースだが、金正恩が儀仗隊の歓迎を受ける様子を放映しただけで、すぐにボリビアのモラレス大統領の歓迎式典に移り、その後長々と習近平とモラレスの対談を流したので、違和感を覚えていた。すると「ただ今、新しいニュースが入りました」とアナウンサーがモラレスの映像を打ち切り、突然、習近平と金正恩の対談の様子に画面が切り替わったのである。

CCTVは、どんなニュースでも厳しい編集作業を通してからでないと放映しないことで有名だが、金正恩との対談の後に行なったモラレスとの対談は大して問題ではないので先に放映し、それで時間稼ぎをした上で、その前に行われた金正恩との対談の編集作業が終えたので、ようやく放映したという順番になったのであろう。

北朝鮮でも、かなりの編集時間を割いてからでないと報道しないが、今回はその時間を縮小し、金正恩がまだ中国にいる間に報道した。中国の支持、特に「支援」を得ることができたということを大きくアピールしているところを見ると、こちらは北朝鮮国内での国民の不満や軍部のクーデターを抑えることに焦りを覚えていることが浮かび上がってくる。

米中をうまく使い分ける金正恩

それにしても金正恩の外交能力には驚かされる。

昨日19日のコラム「トランプの米朝蜜月戦略は対中牽制――金正恩は最強のカード」に書いた「中朝友好の虚構」は揺るぎない事実だ。しかし、それを覆い隠して、中国の支援を求めるために習近平訪朝の前に、中国の専用機借用のお礼を言う形を取って訪中するやり方は、「敵ながらあっぱれ」と言わざるを得ない。

たしかにトランプは北朝鮮の「非核化」を条件として「体制の保証」はしてくれた。しかし、非核化プロセスが実行されているということが確認できるまでは、制裁の解除はしないし経済支援もないという付帯条件が付いている。このままでは北朝鮮には一円もお金が入らない。

そこで「段階的非核化が確認されれば、制裁は緩めるべきではないか」と言ってくれている習近平に泣きついた。

次の米韓合同軍事演習は中止すると米韓は言ってくれたので、この時点で米韓を抑えることはできた。次は経済的支援だ。

事態が米朝韓の間で進めば、中国は必ずチャイナ・マネーを何らかの理由を付けて出してくれるにちがいない。

それを取りつけた上で、次はトランプの嫉妬心を刺激すればいい。そして米朝蜜月を演じる。

米中の間をうまく泳ぎ回る金正恩の姿が浮かび上がってくる。

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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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