最新記事

日本政治

新潟知事選で与党系勝利 自民内で高まる安倍3選機運

2018年6月11日(月)13時20分

6月11日、10日投開票された新潟県知事選で自民、公明両党が支持する前海上保安庁次長の花角英世氏が、野党5党など推薦の元県議、池田千賀子氏らを破り初当選した。写真は安倍首相。イスラエルのエルサレムで5月撮影(2018年 ロイター/Reuters)

10日投開票された新潟県知事選で自民、公明両党が支持する前海上保安庁次長の花角英世氏が、野党5党など推薦の元県議、池田千賀子氏らを破り初当選した。

森友・加計問題で野党側の批判を受けてきた安倍晋三政権は、今回の勝利を機に、終盤国会を与党優位で運営できるとの声が自民、公明両党から出ている。また、9月に予定されている自民党総裁選で、安倍首相の3選の可能性が高まったとの受け止め方が広がっている。

事前の世論調査では、接戦との見方が多かったが、開票結果は花角氏54万6670票に対して池田氏50万9568票と、3万7000票余りの差を付けた。永田町では、与党系が「快勝」したとの分析が出ている。

自民党内では9月の総裁選を巡り、新潟県知事選は重要な節目とみられていた。主要派閥のうち、総裁選への対応を明確にしていない竹下派内では「野党候補が勝てば(安倍総裁では)来年の参院選は戦えないとの意味で政局になる。与党候補勝利なら(安倍)3選で決まり」(幹部)との見方が出ていた。

安倍政権は森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんが明らかになった今年3月以降、内閣支持率が3-4割で推移。その一方で不支持率が支持率を上回っていた。

森友・加計問題による安倍内閣への不満が、与野党対決型の大型選挙でどのように出てくるのか、多くの自民党議員が注視していたが、与党系の勝利で自民党総裁選における安倍首相の立場は、かなり有利になったという情勢分析が、同党内で急浮上している。

実際、自民党の二階俊博幹事長は10日夜、党本部で記者団に対し「総裁選に追い風、良い風が吹いてきたと判断して間違いない」と述べ、安倍首相が優勢になったとの見解を示した。

また、党内で人気の小泉進次郎・筆頭副幹事長が新潟県知事選では応援に行かず「進次郎なしでも勝てた」(与党筋)との声もある。

自民党内では竹下派、岸田派、石原派などが総裁選への対応を明確にしていない。その中で、最も対応が注目されているのが、岸田文雄政調会長だ。

同党内では、岸田氏が立候補を表明すれば、安倍批判を繰り広げる石破茂元幹事長らとの激しい選挙戦が予想されるが、岸田氏が立候補見送りを表明すれば、その時点で安倍3選の可能性がいっそう高まるとの見方がある。

6月20日の通常国会会期末を控え、会期延長問題がどのように決着するかも含め、岸田氏や石破氏の動向にスポットが当たる局面が到来しそうだ。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

[東京 11日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P続落、FRB議長発言で9

ワールド

米、パキスタンと協定締結 石油開発で協力へ=トラン

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRBが金利据え置き

ビジネス

米マイクロソフト、4─6月売上高が予想上回る アジ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中