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核廃棄

北朝鮮が破棄約束したプンゲリ核実験場、すでに「使用不能」か

2018年5月4日(金)11時05分

使用不能説

北朝鮮は昨年9月、平壌の約370キロ北東に位置する同実験場で、水素爆弾実験を成功させたと表明した。テレビ朝日は、この実験でトンネルの1つが崩壊したと報じた。

中国科学技術大学の最近の研究ではさらに、9月3日に起こった爆発規模が巨大すぎたため、核実験場全体が使用不能になった可能性を指摘する。

同大学の研究者は、地震観測データの検証によって、爆発の8分半後に小規模の地震が起きていたことを突き止めた。学会誌に提出された論文要旨によると、研究者は、万塔山内部で崩壊が起きたことで地震が引き起こされたと指摘している。

「崩壊の発生により、万塔山の地下構造は今後の核実験に使えなくなったとみられる」と、昨年12月に行われたアメリカ地球物理学連合の学会で発表された研究概略で説明。同様の実験が行われれば、「さらに大規模な崩壊が起き、環境的大災害となるだろう」と、予測した。

それこそが、北朝鮮が同実験場を廃棄する意思を示した理由かもしれないと、国際原子力機関(IAEA)元査察官で、今はストックホルム国際平和研究所に所属するロバート・ケリー氏は推測する。

「彼らは何かを手放そうとしている訳ではない。あの実験場は、すでに使用不可能なまでに破壊された状態なのだと思う」と同氏は語る。

一方で、米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、今年に入ってトンネル掘削が行われたことが衛星写真で判明しており、同実験場がいまも稼働している可能性があると指摘。ただ、最近では動きがあまり活発ではなくなっているという。

「豊渓里の核実験場が、今後の実験に使用できないと結論づける根拠はない」と、同サイトは23日に記している。

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