最新記事

トランプ政権

あのネオコン、ボルトン復活に恐怖せよ

2018年4月6日(金)18時00分
フレッド・カプラン(スレート誌コラム二スト)

ブッシュ政権時代の顔、ボルトンをトランプは気に入っていると公言 Joshua Roberts-REUTERS

<国家安全保障を担当するトランプ大統領の補佐官に元ネオコンのボルトンが......問題だらけの人物像と高まる開戦の可能性>

警戒警報を鳴らす時が来た。ドナルド・トランプ米大統領が3月22日、解任を発表したH・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)の後任に、あのジョン・ボルトン元国連大使を指名した。

大統領補佐官は上院による承認が不要な政治任用職であり、ボルトンの就任は確実。そしてアメリカが戦争への道を突き進むことも、トランプがそれを望んでいることもたぶん確実だ。

マクマスター解任の約10日前、トランプはレックス・ティラーソン国務長官の更迭を発表し、タカ派のマイク・ポンペオCIA長官を後任に指名。「私が望む政権にとても近づいている」と発言した。

ボルトンは北朝鮮への先制攻撃、イランとの核合意の破棄とイラン爆撃を繰り返し主張してきた。共和党内のより伝統的なタカ派は「力による平和」をモットーとするが、ボルトンの場合は「戦争による体制転換」が信条。アメリカの敵は壊滅すべし、と考えている。

国連を否定した国連大使

ボルトンには、ネオコン(新保守主義者)の一部に認められる倫理的熱情もない。抑圧的体制の打倒に前のめりなのは、民主主義を広めたいからではなく、アメリカの影響力を拡大したいからにすぎない。

ジョージ・W・ブッシュ政権の発足当初、ディック・チェイニー副大統領はボルトンを国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)の座に就けた。だがボルトンの真の任務は国務省内でチェイニーのスパイとして動き、コリン・パウエル国務長官の平和外交路線を監視(可能ならば阻止)することだった。

パウエルは04年11月に辞任を表明(退任は翌年1月)。親友のリチャード・アーミテージ国務副長官も共に政権を去った。チェイニーはボルトンをアーミテージの後任にしようとしたが、新たな国務長官コンドリーザ・ライスはボルトンの妨害姿勢を嫌って、起用の動きを妨げた。

妥協策としてブッシュはボルトンを国連大使に指名したが、共和党多数派の当時の上院にとっても受け入れ難い人事案だった。ボルトンは国連を批判するばかりか、存在自体を否定していたからだ。90年代のある会合では「国連などというものは存在しない」と語っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アサヒ、ビール類で1桁台半ばの売上増計画 「スマド

ワールド

パキスタンで武装勢力が警察車両と検問所襲撃、9人死

ワールド

焦点:トランプ氏2期目の経済政策、現時点で結果まち

ワールド

トランプ大統領が一般教書演説、「米国は黄金時代」と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中