最新記事

ギャンブル

統合型IR実施法で与党が合意 「国内居住者6000円」で海外カジノ業者の評価は?

2018年4月5日(木)18時10分

4月5日、自民党と公明党がカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の主要項目で合意したことを、カジノ事業に進出を狙う海外のカジノ運営会社はおおむね歓迎している。都内で2013年撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

自民党と公明党は、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の主要項目で合意した。カジノ事業に進出を狙う海外のカジノ運営会社は、概ね与党合意を歓迎している。ただ、公文書改ざん問題などで揺れる今国会で同法案が成立するか予断を許さない。

これまでもカジノ関連法は、国会の事情で審議日程の後ずれを繰り返してきたが、今国会でも成立しなければ、日本第1号のカジノのオープンはさらに遅れる可能性が高まる。

自公両党が3日に合意したIR実施法案の概要は、カジノ施設をIR施設の床面積の3%以下とし、運営会社の納付金率を30%の定率にすることなどが決まった。

カジノホテル運営会社、米シーザーズエンターテイメント のウィリアム・シェン日本代表は与党合意について「正しい方向に進んでいる」と評価し、「われわれは、引き続き日本でのビジネスチャンスに非常に高い期待を持っている」と述べた。

富裕層が多く海外旅行者の増加も著しい日本は、カジノ運営会社にとって、将来性のある市場の1つとなっている。

アジアで主要なマーケットになるとみられていたシンガポールでは、10年以上前にカジノが解禁され、カジノ運会社2社が巨大な収益を生み出している。

アナリストの試算によると、日本に2カ所のカジノができるだけで、年間100億ドルの収益が見込める。この潜在的マーケットに、米リゾート大手ラスベガス・サンズ、カジノ運営MGMリゾーツなどが強い関心を示している。

カジノ運営会社にとって最大の朗報は、与党合意でカジノ施設を商業施設や会議場を含めたIR施設全体の床面積の3%以内とすると決まったこと。公明党は、絶対値としてカジノ施設を1万5000平方メートル以内にすることを主張していた。

カジノ運営会社の幹部は昨年来、面積の絶対値の上限を設けないよう議員らに訴えていた。もし上限を設定するなら投資額を下げざるをえず、経済効果も限定的になると主張していた。

IR事業者が負担する納付金率についても、30%の定率とすることが決まった。累進制にすると大規模事業者にとって不利になる。

しかし、今後の進展には不安もある。国会関係者は、同法案が今国会で成立するためには、6月20日までの会期を延長する必要があると指摘する。しかし、森友学園問題で支持率低下に苦しむ安倍晋三首相が会期延長を決断する可能性は低いとみられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中