最新記事

貿易戦争

米国の対中関税はオートバイや電子部品など約1300品目、年間5兆3000億円に

2018年4月4日(水)19時00分

4月3日、米通商代表部(USTR)は、中国からの輸入品に対する25%の追加関税について、対象が約1300品目に上り、年間500億ドル程度に相当することを明らかにした。写真は米国と中国の国旗、北京で2014年7月撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

米通商代表部(USTR)は3日、中国からの輸入品に対する25%の追加関税について、対象が約1300品目に上り、年間500億ドル程度に相当することを明らかにした。

産業技術、輸送関連の製品と医療用品など主に消費財以外の輸入品が標的となる。具体的には化学薬品やテレビ、自動車、電子部品など。追加関税は中国の知的財産権侵害に対抗する措置として決定した。

品目リストの公表を受け、意見公募を開始、約2カ月間の調査期間に入る。USTRはその後に対象品目を「最終決定」する。5月15日には対中関税に関する公聴会を開催する。

リストには、携帯電話やラップトップといった消費者向け電子機器の多くや衣類と靴は含まれなかった。ただ、薄型テレビやLED(発光ダイオード)などの電子部品、オートバイと電気自動車(EV)を含む自動車、航空機部品、電気装置は対象となった。

ライトハイザーUSTR代表はこれまで、中国の輸出業者に最大限の打撃を与えながらも米消費者への悪影響を抑えられる製品群を選び出すアルゴリズムを使ってリストが作成されるとの見通しを示していた。

USTRは、追加関税は「米企業に対し、中国企業への技術・知財の移転を強要する中国の政策に対応」して提案したと説明。このような政策は、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」などの製造業振興策を通じて先端技術で世界の強国を目指す取り組みを後押ししていると指摘した。

中国側はこれまで、国内法が技術移転を強要している事実はないと反論し、米国による追加関税には報復措置で応じる構えを示している。報復関税は大豆や航空機、重機を標的とする可能性があり、米中の貿易摩擦が激化するとの懸念が強まっている。

USTRの当局者は、米国の追加関税は「中国製造2025」を含む製造業振興策の恩恵を受けている製品を標的にしたと説明。2025政策では、先進情報技術(IT)、ロボット、航空機、新エネルギー車、医薬品、発電設備、先端材料、農業機械、造船・船舶工学、高度な鉄道設備の10分野において、輸入品を中国製品に入れ替えることを目指している。

全米製造業者協会のジェイ・シモンズ会長は声明で「関税は対応策の1つだが、製造業者と米消費者への大幅なコスト増になるという意味で、新たな課題を生じさせる公算が大きい」と指摘し、関税の効果に懐疑的な見方を示した。

[ワシントン 3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中