最新記事

中国政治

習近平体制の閣僚人事を読み解く

2018年3月31日(土)13時30分
ミンシン・ペイ(クレアモント・マッケンナ大学ケック国際戦略研究所所長)

中国には、欧米の大学で博士号を取得した人材が大勢いるが、政府で高い地位に就いている人はほぼゼロに等しい。これは、共産党の方針だ。欧米帰りの人物は、欧米の思想に汚染されていて、いつ裏切らないとも限らないと疑われているのだ。

劉と易は、落とし穴だらけの共産党体制の中で巧みに生き延びる才能を持っていたから、出世できたにすぎない。国際感覚が評価されたわけでは全くないのだ。

要するに、今回の閣僚人事に新鮮味はない。大掛かりな組織改編と代わり映えのしない人事――この組み合わせは、習政権の今後について何を示唆しているのか。それは、全人代の議場で改革が高らかに打ち出されたのとは裏腹に、実際の前進は極めて限定的なものにとどまるという可能性だ。

組織改編だけ実行しても、大きな変革が実現するわけではない。行政機構を動かすのは、あくまでも人間だ。機構が人間を動かすわけではない。

<本誌2018年4月3日号掲載>

ニューズウィーク日本版 2029年 火星の旅
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月20日号(5月13日発売)は「2029年 火星の旅」特集。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米エヌビディアやAMDなど、サウジ政府系ファンドの

ワールド

サウジ政府系ファンド所有のリース会社、ボーイング機

ビジネス

国内企業物価4月は前年比+4.0%、前月比+0.2

ワールド

マレーシア航空機撃墜、ロシアに責任との認定拒否=ク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」にネット騒然
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 7
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 8
    「奇妙すぎる」「何のため?」ミステリーサークルに…
  • 9
    トランプは勝ったつもりでいるが...米ウ鉱物資源協定…
  • 10
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中