最新記事

森友学園

ファーストレディーに挑戦した安倍昭恵 リスク恐れぬ行動で「渦中の人」に

2018年3月26日(月)19時25分

3月26日、日本のファーストレディー、安倍昭恵氏はかつて、革新的な思想と言動で保守的な夫との対立も辞さないことで知られた。しかし今、彼女は自らが関わりを持った愛国的教育を看板にした学校への土地売却をめぐる疑惑で渦中の人だ。写真は2014年9月、ロイターのインタビューに答える昭恵氏。都内で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

日本のファーストレディー、安倍昭恵氏はかつて、革新的な思想と言動で保守的な夫との対立も辞さないことで知られた。しかし今、彼女は自らが関わりを持った愛国的教育を看板にした学校への土地売却をめぐる疑惑で渦中の人だ。

大手製菓メーカー経営者の娘として生まれた昭恵氏は、政治家の妻は後ろに下がって陰の存在となってきたこの国で、米国型の公人としての「ファーストレディー」の役割を実践しようと試みた――そのリスクを必ずしも考慮せずに。彼女を知る人や評論家はこう見ている。

昭恵氏とボランティア活動を通じて知り合ったという、無農薬農業などに取り組むNPO法人の豊永有氏は「彼女の認識は、これまでの日本の総理大臣の妻とは違う」と指摘する。「男社会の中で『使える女』になろうとするのではなく、自立した人間として夫や社会と接触しようとしている」。

野党は今、昭恵氏の国会での証人喚問を要求している。森友学園に対し国有地を大幅に値引きし、官僚が公文書を書き換えたことが明らかになったこの問題で、安倍晋三首相の世論調査の支持率は低下している。

財務省は12日、公文書を書き換えたことを認めたが、書き換え後の文書からは昭恵氏に関する部分が削除されていた。安倍首相は、自分と妻はこの土地売却に一切関与していないと否定した。首相は、昭恵氏の証人喚問に応じるつもりはないとしている。

26日付の日本経済新聞朝刊によると、同社の世論調査で昭恵氏の国会招致が「必要だ」との回答は62%だった。安倍内閣の支持率は42%となり、不支持率が49%に上昇した。

2012年の第2次安倍政権誕生時から昭恵氏は、性的少数者(LGBT)のパレードに参加したり、原発に反対したり、沖縄の米軍施設建設反対運動の拠点を訪れたりと、リベラルな政治姿勢に同調する行動で話題となった。

有機野菜を使った料理を出す居酒屋を経営し、医療用マリフアナの合法化を支持する意見を述べたこともある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

週末以降も政府閉鎖続けば大統領は措置講じる可能性=

ワールド

ロシアとハンガリー、米ロ首脳会談で協議 プーチン氏

ビジネス

HSBC、金価格予想を上方修正 26年に5000ド

ビジネス

英中銀ピル氏、利下げは緩やかなペースで 物価圧力を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中