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米外交

北朝鮮との首脳会談、米側の主導権はCIAで国務省は蚊帳の外──米紙報道

2018年3月19日(月)16時00分
ロバート・バレンシア

対話重視で解任されたティラーソン米国務長官(左)、トランプが後任に指名した強硬派のポンペオCIA長官 Jonathan Ernst (L) Aaron P. Bernstein (R)-REUTERS

<トランプ米大統領から新国務長官に指名されたポンペオCIA長官が、米朝首脳会談に向けた事前交渉に最前線で臨んでいる>

ドナルド・トランプ米大統領から新国務長官に指名されたマイク・ポンペオCIA(米中央情報局)長官が、5月までに予定されるトランプと北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による米朝首脳会談の実現に向け、事前交渉の陣頭指揮にあたっている、と米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

現職米大統領とならず者国家の最高指導者による外交上最も大胆な賭けの一つとして注目を集める米朝首脳会談で、国務省は蚊帳の外に置かれ、代わりに情報機関が暗躍している現状が浮き彫りになった、とニューヨーク・タイムズは書く。ポンペオはCIAと北朝鮮の間に設けた裏の外交ルートを通じて、北朝鮮当局者と水面下で接触しているという。

ポンペオは昨年5月、米バージニア州ラングレーにあるCIA本部の中に北朝鮮の核・ミサイル問題を専門に扱う内部組織「コリア・ミッションセンター」を新設したと発表。「CIAはアメリカや同盟国に対する北朝鮮の重大な脅威に対処するため、これまで以上に資源を集中投下できるようになる」と、彼は言った。

北朝鮮には強硬姿勢

ポンペオが自ら北朝鮮との交渉にあたっていることから、なぜトランプがレックス・ティラーソン米国務長官を突然解任したのかも説明がつく、とニューヨーク・タイムズは書く。トランプは3月8日に金正恩からの首脳会談の要請を受け入れて以降、自分とウマが合う国務長官への交代を望んでいた。ティラーソンは以前から北朝鮮との対話路線を主張するなど、重大な外交方針をめぐってホワイトハウスと意見が対立していた。良い例は昨年10月、中国訪問中に北朝鮮との対話に意欲を示したティラーソンに対し、トランプがツイッターで「小さなロケットマンと交渉しようとしても時間の無駄」とおおっぴらに批判したことだ。

ポンペオは、ティラーソンと違い対北朝鮮強硬派だ。北朝鮮の体制転覆に含みを持たせたこともあり、金正恩との直接交渉には懐疑的と見られている。昨年7月には北朝鮮の人々は「(核兵器よりも危険な性格の)金正恩が去るのを見たいはずだ」と言って、北朝鮮を激怒させた。

ポンペオが国務長官に就任するには議会上院の承認が必要だが、手続きは難航しそうだ。ポンペオと、その後任としてトランプがCIA次期長官に指名したジーナ・ハスペルCIA副長官の登用に、民主党議員らは早くも懸念を表明している。2人とも、過去にテロ容疑者への水責めや拷問を容認していた、と米紙USAトゥデーは報じている。

(翻訳:河原里香)


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