最新記事

事件

ロシア、米国外交官60人を国外追放 元スパイ暗殺未遂巡る措置に報復

2018年3月30日(金)08時22分

 3月29日、ロシア外務省は米国のハンツマン駐ロシア大使に対し、米外交官60人の国外退去とともに、サンクトペテルブルクにある米総領事館の閉鎖を命じた。写真はモスクワにあるロシア外務省の建物。21日撮影(2018年 ロイター/Sergei Karpukhin)

ロシア外務省は29日、米国のハンツマン駐ロシア大使に対し、米外交官60人の国外退去とともに、サンクトペテルブルクにある米総領事館の閉鎖を命じた。

米国政府は英国で今月起きた元スパイ暗殺未遂事件にロシアが関与したとして、今週初め、国内のロシア外交官ら60人の国外追放とシアトルのロシア領事館の閉鎖を発表していた。

ロシア政府はまた、事件を巡り英米に同調してロシアの外交官などを追放した国の当局者についても同様に国外退去を命じると発表した。

今回の事件を受け、欧米諸国から国外退去命令を受けたロシア当局者は100人を超えている。

事件は今月4日、英南部ソールズベリーで発生。ロシアの元スパイであるセルゲイ・スクリパリ氏とその娘が神経剤で襲撃され、意識不明の状態で見つかった。

2人が入院している病院によると、スクリパリ氏は現在も重体だが、娘のユリア氏は快方に向かっている。

今回のロシア政府の対応は、暗殺未遂事件を受けて各国が一斉にロシア外交官の国外追放を発表したことへの報復措置とみられる。ただ、ロシアは各国と全く同じ措置で応じることで、事件を巡る欧米諸国との対立をエスカレートさせたくないという意向もにじませている。

英国政府は事件に使われた神経剤が旧ソ連軍が開発した「ノビチョク」だったとしてロシアの関与を主張。ロシアは関与を否定している。

英国はすでに、ロシア外交官23人を追放する制裁を課し、ロシアは同じく23人の英外交官を追放する報復措置をとっている。

これとは別に、英国の警察は、事件で使われた神経剤が最も高い濃度で検出されたのはソールズベリーにあるスクリパリ氏の自宅の玄関扉だったと発表した。



[モスクワ 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾、過去最大の防衛展示会 米企業も多数参加

ワールド

アングル:日米為替声明、「高市トレード」で思惑 円

ワールド

タイ次期財務相、通貨高抑制で中銀と協力 資本の動き

ビジネス

三菱自、30年度に日本販売1.5倍増へ 国内市場の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中