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王岐山、次期国家副主席の可能性は?

2018年2月26日(月)15時40分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

2017年の全人代開幕式における王岐山 Jason Lee-REUTERS

第19回党大会で定年により引退した元チャイナ・セブンの内、王岐山だけが全人代代表に選ばれた。江沢民時代、非党員がなったことがあるほど国家副主席の制限は緩い。26日からの三中全会で政府人事案が決まる。

王岐山だけが全人代代表に選出された

1月29日、湖南省で行われた全人代(全国人民代表大会)に代表(議員)を送り込む湖北省の地方選挙で、王岐山が代表に選出された。第19回党大会で不文律である70歳定年(「七上八下」原則)により引退した元チャイナ・セブンの内、全人代代表に選出されたのは王岐山のみである。

そのため、王岐山だけは例外的に現役の役職に就くのではないかという憶測が広がっている。それも「国家副主席」に就くのではないかという観測が有力だ。

2月26日からは中国共産党の三中全会(中共中央委員会第三次全体会議)が開催され、3月5日から始まる全人代(全国人民代表大会)に提案する国務院(政府)人事案が決まる。最終日に投票により決定。

では、王岐山が国家副主席になる可能性はあるのか、あるとすれば如何なる事情が動いているのか、先ずは国家副主席に関する過去の例を引きながら見てみよう。

国家副主席というポストの柔軟性――非党員が就任した例も

現行の中華人民共和国憲法によれば、国家副主席のポストは、国家主席同様、任期は5年で二期を越えてはならないことになっている。年齢は45歳以上で上限はない。全人代でノミネートされた候補者に対する投票により選出される。

ただ国家主席と異なるのは、必ずしも中国共産党員でなければならないという厳しい制限があるわけではない点だ。

実は国家副主席は非党員(非中国共産党員)でも就任することができるという柔軟性を持っている。実際、江沢民時代には、非党員であった栄毅仁(1916~2005年)という商業界の人が国家副主席になったという例さえある。

江沢民は1989年6月4日に起きた天安門事件で、民主化を叫ぶ若者たちに同情的な態度を取った中共中央総書記・趙紫陽が罷免されたことにより、突如総書記に起用された人物だ。父親(江世俊)は日中戦争時代の日本の傀儡政権、汪兆銘政府の官吏だった。だから江沢民は日本軍が管轄する南京中央大学に学んでおり、ダンスやピアノなどに明け暮れていた。日本語も少し話せる。酒が入ると「月が出た出た―、月がぁ出た―」と歌い始めたことで有名だ。

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