最新記事

オリンピック

平昌五輪へ北朝鮮スキー場での南北合宿案、経済制裁に抵触の可能性

2018年1月24日(水)09時48分

 1月22日、来月9日開幕する平昌冬季五輪を控え、北朝鮮の馬息嶺(マシクリョン)スキー場に自国選手を派遣して南北合同トレーニングを行うという韓国の提案は、金正恩政権を正当化するだけでなく、現金供与につながるリスクがあると、脱北者や専門家が警鐘を鳴らす。写真は馬息嶺スキー場を視察する金正恩氏。2013年12月KCNA提供(2018年 ロイター)

来月9日開幕する平昌冬季五輪を控え、北朝鮮の馬息嶺(マシクリョン)スキー場に自国選手を派遣して南北合同トレーニングを行うという韓国の提案は、金正恩政権を正当化するだけでなく、現金供与につながるリスクがあると、脱北者や専門家が警鐘を鳴らす。

五輪開会式における統一旗を掲げた南北合同の入場行進や、アイスホッケー合同チームの結成など、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が提案した南北融和策は、すでに国内から批判を浴びている。

もし、金正恩・朝鮮労働党委員長の肝いりで作られた朝鮮半島東岸の元山(ウォンサン)近郊にある高級リゾートを支援していると受け止められれば、文政権はさらなる圧力にさらされるだろう。


「合同トレーニング案は、一般市民が飢えに苦しむ中でスキーリゾートを建設するという本来、時代錯誤な金正恩氏の決定を、先見の明ある決断だったと正当化するプロパガンダの道具になる恐れがある」と、韓国外交部の元副部長Kim Sung-han氏は指摘した。

北朝鮮の平昌五輪参加は、この機会を利用して南北の緊張を緩和し、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡るこう着状態を打開する契機としたい文大統領の目標だった。

韓国政府は今週、現地に担当者を派遣して、同スキー場の施設や、自国スキー選手が移動に利用するかもしれない近隣の葛麻(カルマ)新空港を視察する予定だ。合同トレーニングに参加する韓国選手は、五輪には出場しない見通しだという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ情勢巡る「ロシアとの緊張高まり懸念せず」

ビジネス

米11月中古住宅販売、0.5%増の413万戸 高金

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中