最新記事

米外交

「トランプはイランに戦争を吹っかけている」── イラン反政府デモを煽るトランプをマクロンが非難

2018年1月5日(金)16時10分
トム・オコナー

イスラム体制の頂点、ハメネイ師をも批判するイランでは異例の反政府デモ(写真は昨年1月30日、テヘラン) REUTERS

<アメリカはイスラエル、サウジアラビアと共謀して仇敵イランのイスラム体制を倒そうとしていると、仏大統領>

アメリカとイスラエル、サウジアラビアは、年末から一週間にわたって異例の反政府デモが続いたイランに戦争をたきつけている──フランスのマクロン大統領は1月4日、そう非難した。

イランの反政府デモは、ロウハニ大統領の緊縮政策に反発した市民が昨年末の28日に行った抗議行動から始まり、一部では最高指導者ハメネイ師を頂点とするイスラム体制そのものを批判する異例の動きとして全土に広まった。一部ではデモ隊と治安部隊との衝突が起こり、これまでに20人以上の死者が出ている。

反政府デモ側を繰り返し称賛してきたアメリカと、同じくイランを敵視するイスラエル、サウジアラビアの3カ国が、最近ますますイランを孤立化させ、弱体化させようとする「敵視政策」を進めていると批判。イランとの対話を呼び掛けた。

ロイターによると、マクロンは「フランスの同盟国でもある3カ国がイランに対して取っている外交姿勢は、戦争につながる姿勢だ」と、記者団に語った。さらに「それも、これは意図的な戦略だ」とも語った。

一年前にアメリカの大統領に就任したドナルド・トランプは、オバマ前大統領の対イラン融和政策を反転させ、イランに対して敵的な外交姿勢に転換した。

トランプは、2015年のオバマ政権時代にアメリカなど6カ国が締結したイランとの核合意(フランスも締結国の1つ)を「最悪のディール」と非難してきた。さらに中東地域でイランがテロを支援している疑いがあるとして、イランへの制裁を再開するかどうか米議会の判断を求めた。

イランの反政府デモについてトランプは、ツイッターを使ってイラン政府を批判し、「腐敗した政府を自分たちの手に奪回」しようとする市民への支持を表明した。トランプはイランの現体制(シーア派のイスラム革命によって79年に政権樹立)の転覆を狙う反政府勢力に「強い支持」を表明した。しかし現地の反政府デモの中では、このような強硬な意見は少数派でしかない。

トランプのツイートはすぐに、イランへの内政干渉だとツイッター上で批判された。

しかしイランへの攻撃的な姿勢は、オバマ政権が主導した核合意に強く反発するイスラエルからは歓迎されている。イランはイスラエルを敵視するレバノンやパレスチナの武装グループを長年、支援している。またシリアでは、イランの支援を受けた武装勢力が反政府勢力やジハーディストを圧倒した。

イランに対抗する上でイスラエルは、サウジアラビアの協力も求めている。保守的なスンニ派のサウジアラビアは、公式にはイスラエルを国家として認めていない。しかし共に中東地域でのアメリカの同盟国である両国が、慎重に関係改善を進めているという報道が出始めている。

ニュース速報

ワールド

中国、できるだけ早期の対米通商合意望む=商務次官補

ワールド

NZホワイト島で火山噴火、1人死亡・複数が負傷

ワールド

アングル:混迷する英総選挙の予測はAIで、世論調査

ビジネス

日経平均は続伸、模様眺めで東証1部売買代金は2兆円

MAGAZINE

特集:仮想通貨ウォーズ

2019-12・10号(12/ 3発売)

ビットコインに続く新たな仮想通貨が続々と誕生── 「ドル一辺倒」に代わる次の金融システムの姿とは

人気ランキング

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 3

    次期首相候補、石破支持が安倍首相を抜いて躍進 日本企業への調査で

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    『鬼滅の刃』のイスラム教「音声使用」が完全アウト…

  • 6

    【デモ隊の告白12】「プロテスタントとカトリックが…

  • 7

    イランで逮捕された「ゾンビ女」の素顔

  • 8

    ペットに共食いさせても懲りない飼い主──凄惨な退去…

  • 9

    サムスン電子で初の労組結成──韓国経済全体に影響す…

  • 10

    「ダイバーシティ」が上滑りする日本よ、真の多様性…

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」組の絶望

  • 3

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

  • 4

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 5

    ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を…

  • 6

    『鬼滅の刃』のイスラム教「音声使用」が完全アウト…

  • 7

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 8

    5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前…

  • 9

    韓国保守派のホープを直撃した娘の不祥事

  • 10

    サムスン電子で初の労組結成──韓国経済全体に影響す…

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    「愚かな決定」「偏狭なミス」米専門家らが韓国批判の大合唱

  • 3

    「日本の空軍力に追いつけない」アメリカとの亀裂で韓国から悲鳴が

  • 4

    元「KARA」のク・ハラ死去でリベンジポルノ疑惑の元…

  • 5

    「韓国は腹立ちまぎれに自害した」アメリカから見たG…

  • 6

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 7

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」…

  • 8

    GSOMIA継続しても日韓早くも軋轢 韓国「日本謝罪」発…

  • 9

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

  • 10

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月