最新記事

難民

法務省、難民申請6カ月後の就労許可を廃止 申請者の6割は収容施設へ?

2018年1月12日(金)18時23分

1月12日、法務省は、難民申請制度について、申請6カ月後から就労を許可する現在の運用を廃止すると発表した。就労目的の難民申請が急増していることを受け、「濫用・誤用的な申請を抑制する」としている。15日から適用する。写真は東京拘置所。2015年12月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

務省は12日、難民申請制度について、申請6カ月後から就労を許可する現在の運用を廃止すると発表した。就労目的の難民申請が急増していることを受け、「濫用・誤用的な申請を抑制する」としている。15日から適用する。

上川陽子法相は午前の会見で「(難民の)受け入れを消極的にするという趣旨ではない。保護が必要な難民への適正な対応に傾注したい」と述べた。

今回の見直しでは、難民申請後2カ月以内に申請者を、1)難民の可能性が高い人、2)明らかに難民に該当しない人、3)再申請を繰り返している人、4)その他──に分類する。1)には速やかに就労を許可する一方、2)や3)については就労不可として、在留期限終了後に新たな在留資格を付与しない。

日本では2010年3月から、難民申請を行った6カ月後から認定手続きが完了するまでの間、就労が認められるようになった。

申請数はその後増加を続け、2016年の申請者は1万0901人と初めて1万人を上回った。認定数は28人にとどまった。

2017年1─9月の申請者は1万4043人に上り、前年同期からさらに1.8倍に増加した。認定数は9人だった。

法務省では、1─9月の申請者のうち、難民の可能性が高いと判断される人は「1%未満ではないか」としている。また今回の見直しによって、申請者全体の約6割にとって在留や就労に制限がかかり、その結果在留が認められず収容施設に収容される人が増える、と予想している。

NPO法人難民支援協会は今回の措置を受け、「大多数の難民申請者は、申請中の就労を前提とされている。この権利が制限されると、生きていけない人が大量に生まれることになる」とし、「今回の見直しが、真に保護を求める難民を排除し、生存が危うくなる人たちを増やすことがないよう、慎重な運用と定期的な見直しを求める」とのコメントを発表した。

(宮崎亜巳、舩越みなみ)

[東京 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版のおすすめ記事をLINEでチェック!

linecampaign.png

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

焦点:米航空会社、感謝祭目前で政府閉鎖の影響に苦慮

ワールド

アングル:ガザ「分断」長期化の恐れ、課題山積で和平

ビジネス

国内外の不確実性、今年のGDPに0.5%影響=仏中

ワールド

ウクライナ、ハルシチェンコ司法相を停職処分に 前エ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 6
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 10
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中