最新記事

米軍

北朝鮮にらみ米空軍の戦略爆撃機3種がグアムに集結

2018年1月18日(木)18時52分
ジョン・ハルティワンガー

敵に狙われにくい高い高度を飛び「成層圏の要塞」と呼ばれるB52爆撃機 Ints Kalnins-REUTERS

<北朝鮮が警戒するグアムに核兵器搭載可能な爆撃機が集合。反発は必至だ>

米軍は1月16日、米領グアムのアンダーセン空軍基地に、核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機を展開した。今月、同じく核兵器搭載可能なB2ステルス戦略爆撃機もグアムに到着。すでに展開中のB1B戦略爆撃機と合わせて、核兵器搭載可能な3種類の爆撃機が集結した。

米空軍で核兵器の運用を行う地球規模攻撃軍団に属する3機種がグアムに集結まるのは、2016年8月にグアムで初めて3機種合同の示威飛行を行った時(下の動画)以来、2度目。

米空軍によれば、6機のB52と約300人の空軍兵士が米南部ルイジアナ州のバークスデール空軍基地からグアムに到着した。B52は、1月下旬に本拠地の米サウスダコタ州エルスワース空軍基地に帰還する予定のB1Bから任務を引き継ぐ。約1週間前に到着したB2と合わせて、短期間でも3機種の戦略爆撃機が同時展開するのは異例だ。

B52の到着を受けて、米空軍は声明を発表した。「B52の太平洋地域への展開は、長年繰り返してきた運用経験を生かし、アメリカの同盟国や友好国に確かな戦略的根拠地を提供するものだ。B52は亜音速で最高高度1万5000メートルを飛行可能で、核兵器や精密誘導兵器も搭載できる。全世界対応の精密測位機能も装備されている。前方展開戦力となるB52の配備は、インド太平洋地域の同盟国や友好国に対し、アメリカの継続的な関与を示すものだ」

北朝鮮はこれまで、グアムをミサイル攻撃すると再三にわたり脅してきた。そのグアムに3機種の主力爆撃機が集結したとなれば、北朝鮮が反発するのは必至だ。

北朝鮮の国営メディアは昨年11月、B1Bが朝鮮半島の上空を飛行したことに対し、「わが国を恐喝する意図がある」と猛反発した。6機のB52がグアムに到着する数時間前には、北朝鮮より大きくて強力な「核のボタン」を持っていると主張したドナルド・トランプ米大統領のツイッターに初めて反応し、「変人の発作だ」と非難した。

3機種の戦略爆撃機の同時展開が北朝鮮を刺激し、平昌冬季五輪を前に南北関係改善に向けた取り組みに水を差す可能性もあるが、米空軍から返答は得られなかった。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

サハリン2のLNG調達は代替可能、JERAなどの幹

ビジネス

中国製造業PMI、10月は50.6に低下 予想も下

ビジネス

日産と英モノリス、新車開発加速へ提携延長 AI活用

ワールド

ハマス、新たに人質3人の遺体引き渡す 不安定なガザ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中