最新記事

中東

イラン反政府デモ拡大で死者21名に 革命防衛隊は鎮圧部隊派遣

2018年1月4日(木)10時17分

1月3日、イラン全土に反政府デモが拡大する中で、最高指導部直属の革命防衛隊のジャファリ司令官は、鎮圧のために3州へ部隊を派遣したことを明らかにした。写真は12月30日にテヘランで行われた抗議活動。提供映像(2018年 ロイター)

イラン全土に反政府デモが拡大する中で、最高指導部直属の革命防衛隊のジャファリ司令官は3日、鎮圧のために3州へ部隊を派遣したことを明らかにした。

デモは若者や労働者が経済的な苦境や汚職を巡る不満を表明する形で始まったが、次第に現在の指導部、特に最高指導者のハメネイ師の政治全般に対する批判へと発展しつつある。米国やイスラエルがイラン政府を非難するなど国際的な波紋も広がっている。

反政府デモは既に21人の死者が出ている。司法当局者が場合によっては拘束者を死刑にする可能性もあると示唆したものの、再び活発化の様相を見せている。これまでに最も犠牲者が多かったのはハマダーン、イスファハン、ロレスターンの各州で、ジャファリ氏はこれらの地域の「新たな扇動」に対処する目的で部隊を派遣したと説明した。

3日にはいくつかの都市で当局側が動員した人々が政府支持を訴える集会に参加し、国営テレビはイラン国旗とハメネイ師の肖像を掲げて行進する群衆を放映した。

ジャファリ氏は、政府支持集会の盛り上がりがデモの収束を物語っていると強調した。各地で政府支持に加わった人数はそれぞれ最大1500人とし、反政府集団は全国合計でも1万5000人以下だったとの見方を示した。

今回のデモは自然発生的で、はっきりした指導者が存在しないとはいえ、ある程度教育水準のある中間層や2009年の抗議活動に参加した人々などの間で支持を拡大している。

[ロンドン 3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版のおすすめ記事をLINEでチェック!

linecampaign.png

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル対円で一時9カ月半ぶり高値、高市

ビジネス

米国株式市場=S&P4日続落、割高感を警戒 エヌビ

ワールド

トランプ氏支持率、2期目最低 生活費高やエプスタイ

ワールド

トランプ氏、サウジ皇太子と会談 F35売却と表明 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中