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サウジ王族

汚職摘発に熱心だったサウジ皇太子、ケタ違いの贅沢が明らかに

2017年12月19日(火)16時56分
グレース・ガーニエリ

これらの贅沢な買い物が明らかになったことで、サウジアラビアにおける改革派としてのムハンマドのイメージダウンは避けられない。ムハンマドはこれまで、イスラム教国サウジアラビアに革新的な社会政策を導入してきた。映画館を解禁したり、女性の自動車運転を許可したのもその一環だ。

また、王族や政府職員と企業の腐敗取り締まりの陣頭指揮も執ってきた。サウジの王子を11人も一斉逮捕し、自由の身にするのと引き換えに全財産を没収したりもしている。

米中央情報局(CIA)元高官で、現在はテロ対策専門家のブルース・リーデルはニューヨーク・タイムズ紙に対し、「皇太子は、自分はほかの人間とは異なる改革派で、腐敗した人間ではない、というイメージでかなりの成功を収めてきた」と言う。「それだけに今回の件は、深刻なダメージになるだろう」。

ムハンマドは現在32歳で、父親のサルマン国王の後継者だ。11月に同紙のインタビューに応えた際には、政府と企業の汚職を厳しく取り締まっており、国内で200人以上を摘発したと語っていた。

また次のようにも言っていた。「わが国は1980年代から現在まで、汚職によって多くの損害を被ってきた。専門家の推定によると、政府の年間総支出額の約10%が毎年、高官から位の低い役人までの汚職によって不正流用されている」

ムハンマド自身も、同じ穴の狢だったようだ。

(翻訳:ガリレオ)

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