最新記事

韓国

金正恩を倒すための「斬首部隊」に自爆ドローンを装備

2017年12月8日(金)15時50分
ソフィア・ロット・ペルシオ

斬首部隊は韓国軍・特殊戦司令部の兵士約1000人で構成(写真は特殊戦司令部の兵士によるデモンストレーション) Kim hong Ji-REUTERS

<北朝鮮情勢の悪化を受け、韓国軍は今月遂に金正恩ら北朝鮮指導部を殺害する「斬首部隊」を創設したが、装備はまだまだこれからだ>

今月1日に韓国軍が創設した、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長ら指導部を殺害する「斬首部隊」に、攻撃用ドローンやグレネードマシンガンなどの購入予算31万ドルが配分された。

韓国国防部が12月6日に発表した2018年の予算では、国防部全体の予算として400億ドル近くが配分され、斬首部隊の予算はその中では僅かだが、今後増額される見通し。

国防部職員は韓国英字紙コリア・ヘラルドの取材に対して、「特殊部隊が購入する装備は、自爆攻撃ドローンや偵察用ドローン、それにグレネードマシンガンなどだ」と匿名で語っている。

長らく待ち望まれたこの斬首部隊は、韓国軍の特殊戦司令部の兵士約1000人で構成され、有事の際には北朝鮮の軍司令部を排除する任務を負う。

低空飛行できる航空機はまだ

しかし斬首部隊が作戦を実行するためには、部隊を北朝鮮領内に侵入させる低空飛行可能な航空機など、さらに装備が必要となる。国防部は、来年装備の購入を進め、予算も必要に応じて増額する。「斬首部隊の戦闘能力の向上のために総額では2400万ドルの予算になる」と前述の職員は語る。

韓国の2018年の国防予算は前年比で7%増加し、北朝鮮情勢の緊張を反映して2009年以降では最大の増加率になった。韓国軍は来年、斬首部隊だけでなく、偵察活動や必要な場合には攻撃を行う戦闘ドローン部隊も創設する。

北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返しているが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮に対する先制攻撃の可能性は強く否定している。先月29日に北朝鮮が新型と見られる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を行ったことに対しては、北朝鮮が核開発を放棄し、交渉のテーブルに戻るよう求めた。

米軍と韓国軍は現在、戦闘機など230機を投入した共同訓練を行っている。北朝鮮はこの訓練について、朝鮮半島を「核戦争の瀬戸際」に追い込む挑発だと非難した。北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は6日に出した声明で共同訓練への非難を繰り返し、戦争の勃発は「既定の事実」で、すでに「起こるかどうか」ではなく「いつ起こるか」の問題だ、と述べている。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!

気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを

ウイークデーの朝にお届けします。

ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

IEA、24年の石油需要予測を下方修正 中国が鈍化

ビジネス

英中銀、銀行資本改革を緩和へ 「自己資本への影響小

ビジネス

中国、5兆ドル住宅ローンの金利引き下げへ 9月中に

ビジネス

キリンHD、ファンケルへのTOB成立 完全子会社化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    公的調査では見えてこない、子どもの不登校の本当の…
  • 5
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 6
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 7
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 8
    恋人、婚約者をお披露目するスターが続出! 「愛のレ…
  • 9
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンシ…
  • 10
    数千度の熱で人間を松明にし装甲を焼き切るウクライ…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 3
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 7
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 8
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 9
    「私ならその車を売る」「燃やすなら今」修理から戻…
  • 10
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中