最新記事

スマートフォン

iPhoneXは期待外れ

2017年12月27日(水)16時20分
ゾーラ・レイ

iPhoneXが発売になった11月3日は熱気に満ちていたが Peter Nicholls-REUTERS

<鳴り物入りで発売されたが、売れ行きはよくなさそうだ>

2017年のクリスマス商戦が終盤に入っても、iPhone Xへの需要は予測を下回っていると、米ブルームバーグは12月26日に複数のアナリストを引用した。同日のアップル株価は下落し、アナリストは2018年第1四半期のiPhone X出荷数の予想を引き下げた。

iPhone Xの販売価格は最も安いモデルでも999ドルする(SIMフリーモデルの場合、日本での価格は税別11万2800円)。これに対し「iPhone 8」は、699ドル(同7万8800円)で手に入る。

中国の国金証券のアナリスト、張斌は投資家向けリポートで、「需要の第一波が満たされた後は高価格がネックとなり、2018年第1四半期は需要が落ちることを市場は懸念している」と書く。iPhone Xの出荷台数は、これまでの予想の3500万台を1000万台下方修正した。

ブルームバーグの記事には、JLウォーレン・キャピタルの22日付けのリポートも紹介されており、2018年第1四半期のiPhone X出荷台数が3000万台から2500万台に引き下げている。需要低下の理由については「高過ぎる価格と、興味を引くイノベーションの欠如」の2点を挙げる。

iPhone.の天下いつまで

iPhone Xの部品メーカーも株価を下げている。米CNNによると、ルメンタムとペガトロンの株価が約3%下落したほか、スカイワークスやフィニサーは2%、フォックスコンも1%値を下げた。なかでも下げ幅が大きかったのは、iPhone Xのレンズモジュールを製造している台湾の玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル)で、11%以上下落した。

11月の時点で、アップルのティム・クックCEOはiPhone Xの予約状況について「非常に堅調だ」とCNNにコメントしていた。アップルはこれまで、iPhone Xの販売実績について、正式な数字を発表していない。

一方、フォーブスのイワン・スペンスは12月に入り、iPhone Xの販売不振はアップルにとってそれほど悪い状況というわけではないと書いた。同時に発表した下位モデルiPhone8が予想以上にヒットしたせいだからだという。

だが、iPhone Xから客を奪っているのはアップルのほかの製品ばかりではない。サムスンは、「Galaxy Note 7」の発火騒動から見事に復活を遂げ、強力なライバルとなっている。また、中国のユーザーにとっては、オッポ(OPPO)や華為技術(ファーウェイ)、小米科技(シャオミ)といった国産メーカーも有力な選択肢になっている。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算に注目、AI業界の試金石に=今週の

ビジネス

FRB、9月利下げ判断にさらなるデータ必要=セント

ワールド

米、シカゴへ州兵数千人9月動員も 国防総省が計画策

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく 砂漠化する地域も 
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 6
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で…
  • 7
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 8
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    株価12倍の大勝利...「祖父の七光り」ではなかった、…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 9
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中