最新記事

イギリス

ブレグジット&ザ・シティ イギリス金融界は没落していくのか

2017年11月30日(木)12時33分


●商業用不動産価格

ロイターは、英不動産セクターの最大手、サヴィルズとナイトフランクから不動産データを得ている。サヴィルズは、シティ・オブ・ロンドン地区内で判明しているすべての不動産取引に基づいて不動産価値を計算しているという。ナイトフランクのデータは、オーナー、デベロッパー、不動産代理店から集めたものだ。

サヴィルズによれば、シティ・オブ・ロンドンの商業用不動産価格は、2016年6月の英国民投票の後、グローバル金融危機の最後の年となる2009年以降で最大の下げ幅を見せている。

シティ・オブ・ロンドン地区の不動産賃貸価格は、9月末時点で、前年の1平方フィートあたり77.6ポンドから73.4ポンドへと約5%の下落を示している、とサヴィルズは指摘する。

だが、サヴィルズで欧州商業不動産リサーチ部門を率いるマット・オークリー氏によれば、2017年第1・四半期から第3・四半期にかけて、シティ・オブ・ロンドン地区における賃貸活動は、長期的な平均値よりも17%多かったという。

ナイトフランクによれば、カナリーワーフ地区の価格は昨年に比べて変化していない。

サビルズのオークリー氏は、グローバル金融危機以降初めて、金融・銀行セクターが「(旧ドック地区であるカナリーワーフで)新たなオフィススペースを探すようになった」と話す。

●地下鉄利用客

シティ周辺の主な地下鉄駅であるバンク、モニュメント両駅間は、平日1日あたり20万人以上の利用客を記録し、ロンドンで最も混雑する駅となっている。

この両駅及び地下鉄カナリーワーフ駅の利用客数を調べるために、ロイターは公共交通を運営しているロンドン交通局に情報公開法に基づく公開請求を提出した。

ロンドン交通局のデータは、バンク、モニュメント両駅の利用客数が、グローバル金融危機以降初めて減少傾向にあることを示している。

両駅の2017年1─8月の乗降客数は、前年同時期に比べ2.7%減少した。それまでは2009年以降、毎年増加していた。

カナリーワーフ駅では、利用客数の増加が続いている。だがロンドン交通局のデータによれば増加ペースは鈍化しており、今年1─7月の増加率は2009年以来2番目に小さかった。

ロンドン交通局の広報担当者によれば、バンク駅の拡張に向けた多年度プロジェクトが2015年末に始まり、結果として一部のエスカレーターが一時的に閉鎖されたが、それによって列車の運行本数が減らされたことはないという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、20万8000件と横ばい 4月

ビジネス

米貿易赤字、3月は0.1%減の694億ドル 輸出入

ワールド

ウクライナ戦争すぐに終結の公算小さい=米国家情報長

ワールド

ロシア、北朝鮮に石油精製品を輸出 制裁違反の規模か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中