最新記事

アメリカ社会

「セックスしている子もいるけど私はしたくない」 アメリカの女子大生に浸透するパパ活とは

2017年11月13日(月)18時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

クリスティーナはサイトを通じて、これまで学費として9万ドル(約1000万円)を受け取ってきた。魅力を感じてしまう学生がいることも納得の金額だが、問題はそこではない。シュガー・ベビーであることは社会的な汚名のレッテルでもあり、そんな劣等感から心に葛藤を抱え苦しむ。

クリスティーナによると、お金のためにセックスをするシュガー・ベビーもいる。でも、彼女はそんなことはしたくないと思っている。

急拡大したシュガー・ベビーの全容は把握できない

シュガー・ベビーとシュガー・ダディの関係は十分に研究されていないため、このシステムが一般的になっているかどうかは不明だ。ただ、確実にインターネットの功罪は大きいと専門家は考えている。オンラインでの出会いを研究するカリフォルニア大学サンディエゴ校のケビン・ルイス准教授は、欲しいものを率直に明示できることで市場が効率化されると言う。

米ネバダ大学でジェンダー・セクシュアリティを研究するリン・コメラ準教授は、ストリップ、売春、チャットやウェブカメラを使ったセックスワークで学費を捻出する学生は珍しくないと語る。ただ、シュガー・ベビーとシュガー・ダディを結びつけるこのシステムは比較的新しいもので、実際に何が起きているのか、その実態は完全にはわからない。

この状況にいち早くメスを入れた国もある。フランスのパリ市政は10月、警察と協力して、経済力のある男性と若い女子学生のマッチングサイトを「恥ずべきもの」だとしてパリから撲滅させると正式に決めた。

これまでパリ市内には、マッチングサイト「RichmeetBeautiful」がこんな露骨な文言で多くの屋外広告を出していた。『ロマンス、情熱、そして借金なし。シュガー・ダディやママと一緒に出かけよう』

奨学金の専門家によると、2015年のアメリカの大学に通う学部生は平均3万5000ドルの借金を抱えている。金額は毎年増加しており、大学院卒業時には平均7万5000ドルまで膨らむ。研究や進学のためにカリキュラムが長くなればなるほど学生は深刻な負債に陥るが、状況は良くない。ほとんどの主要都市で不動産の賃貸料が急騰し、学生の生活は奨学金だけで賄えるレベルを超えている。シュガー・ダディに助けを求めなければならない学生の声に耳を傾けることが必要だろう。


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!

ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中