最新記事

北朝鮮

北朝鮮、観光と兵器で生き残り図る? 金正恩が元山に見る夢

2017年10月23日(月)16時32分


元山で稼ぐ

入手できる最新のデータによると、軍事費のGDPに占める割合は北朝鮮が世界最高で、2004─2014年の平均では23%に達すると米国務省は分析している。

元山のパンフレットは、14─43%の内部収益率をうたい、健全な収益性を約束している。例えば、総建設費730万ドルのでデパート建設計画では、外国人投資家の出資比率は最大61.3%まで認められている。リターンとして、投資家は年間130万ドルの利益を見込めるという。

またパンフレットは、外国人投資家に有利な条件を宣伝しており、権利は国が保護し、資金の海外移転に制限はないとしている。土地は所有できないが、50年間貸借でき、リース権の売買もできる。

さほど条件が良くないプロジェクトもある。

例えば、新設される元山ビール醸造所に240万ドルの初期投資を行い、北朝鮮のビール人気で稼ごうというプロジェクトがある。だが外国人投資家は、15%の取引税や、都市管理税、自動車税などの対象となる。それに加え、所得税14%が課税され、年間予想利益はほぼ半分の約15.5万ドルまで目減りする。

北朝鮮は表向き、国内投資家には課税していない。だが専門家によると、北朝鮮は国営企業の利益の70%程度を徴収して資金源にしている。

プロジェクト案の中には、観光の枠を超えるものもある。「産業ベースで経済価値が高く、観光客や海外輸出市場を満足させる」海産物の養殖場や、照明機器工場、家具工場のほか、改修された「元山釣具」工場もある。同工場の生産力は、浮き1万個、ロープ750トン、「水泳用ライフジャケット」2500個などとなっている。

元山開発プロジェクトが持ち上がって以降、国連は対北朝鮮制裁を強化し、海産物輸出は禁止され、合弁事業にも制限がかかった。

2015年のパンフレットは、外国人投資家の元山への関心は「日々大きくなっている」としている。

だが、同年元山で開かれた投資会議に出席した西側参加者によると、北朝鮮当局者は、投資家のニーズをあまり理解していない様子だったという。会議には、中国や西側から約200人が出席し、この地帯への投資見通しについて説明を受けた後、現地を視察した。

「少しは現実的な話が聞けるかと思ったが、彼らは単にこの投資機会がいかに素晴らしいか述べるだけで、この地域や彼らの計画に問題や欠陥があり得るということを一切認めなかった」と、北京を拠点とする高麗旅行社のサイモン・コッカレル氏は話した。

元北朝鮮外交官で、2015年に韓国に亡命するまでベトナムに駐在したHan Jin-myung氏は、元山計画を国外で宣伝するよう指示されたが、あまり成功しなかったと話す。「代わりに北朝鮮産の薬草や薬を売って終わってしまった」

(翻訳、編集:伊藤典子、山口香子)

Ju-min Park and James Pearson

[ソウル 10日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アサヒ、ビール類で1桁台半ばの売上増計画 「スマド

ワールド

パキスタンで武装勢力が警察車両と検問所襲撃、9人死

ワールド

焦点:トランプ氏2期目の経済政策、現時点で結果まち

ワールド

トランプ大統領が一般教書演説、「米国は黄金時代」と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中