最新記事

日本政治

安倍首相「与党過半数から政権維持」 衆院選直前の党首討論

2017年10月9日(月)09時20分

10月8日、安倍晋三首相は日本記者クラブで開かれた衆院選直前の党首討論で、自公の連立2党によって「過半数を維持すれば政権を維持する」と述べ、退陣論をけん制した。党首討論会に臨む与野党8党首。都内で撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

安倍晋三首相は8日、日本記者クラブで開かれた衆院選直前の党首討論で、自公の連立2党によって「過半数を維持すれば政権を維持する」と述べ、退陣論をけん制した。日銀の大規模な金融緩和をめぐり「デフレ脱却前の出口戦略は時期尚早」と指摘した。

希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は、同党が政権を獲得した場合の首相候補について「選挙の結果を踏まえて考えたい」と明言を避けた。同時に同党が衆院選後の首相指名選挙で自民党の石破茂氏に投票する可能性にも否定的な見解を示した。

解散判断、「揺らがなかった」と安倍首相

討論は午後1時から2時間にわたり憲法改正やアベノミクス、北朝鮮問題に加え、臨時国会冒頭での解散の大義や森友・加計問題などについて各党代表が討論。その後、日本記者クラブ加盟する報道機関各社の代表と各党代表の質疑応答が行われた。

衆院選の勝敗ラインについて、自公で過半数との議席は233議席以上を意味し、公明党が現有議席を維持するなら、自民党にとり約80議席の大幅減になる。このため「50議席減程度が退陣ラインでないか」との質問に対して、安倍首相は自公過半数なら首相指名で選ばれると説明し、退陣不要との見解を強調した。

希望の党の発足など、首相の解散表明後の展開が予想外で、安倍首相は解散を後悔しているのでは、との質問に対して、首相は「今回の判断は揺らぐことはなかった」と答えた。

自民党は消費税率の引き上げとともに、使途変更による教育分野などへの支援拡充を公約に掲げているが、経済環境の変化で増税を延期する場合は、支援拡充もなくなると明言した。

使途変更により財政の基礎的収支(プライマリーバランス、PB)黒字化の達成時期が従来の2020年度からずれ込むが、達成時期は「現段階で材料がそろっていないので示せないが、将来必ず示す」とした。

日銀の大規模な金融緩和については「やらなければいけない政策だった。行き過ぎた円高を是正した」と説明。デフレを脱却しない前の段階での超金融緩和政策の出口模索は「時期尚早」と指摘した。

また、「マーケットも見ている」と指摘したうえで「どのようにデフレ脱却を達成するか、出口戦略は日銀総裁に任せている」と強調した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大企業製造業・業況判断DIは+15=12月日銀短観

ビジネス

MDV、日本生命によるTOB「検討中」 決定事項は

ワールド

世界各地でユダヤ教行事の警備強化、豪ビーチ銃撃受け

ワールド

チリ大統領選で右派カスト氏勝利、不法移民追放など掲
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中