最新記事

北朝鮮

中国から労働者を閉め出された北朝鮮 開城工業団地をひそかに再稼働

2017年10月7日(土)15時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

南北融和の象徴だった開城工業団地だが、今や金正恩の手に落城した(写真は2009年の開城工業団地) REUTERS

<国際社会の中で孤立を深める北朝鮮。かつて蜜月を誇った中国も国連の制裁決議に加わり、国内にいる北朝鮮労働者を追い出しにかかっている。果たして労働者たちの向かった先は?>

9月3日に過去最大規模の核実験を行った北朝鮮。その代償は、原油と石油製品の北朝鮮への輸出禁止、繊維製品の北朝鮮からの輸入制限などからなる11日の国連安保理での制裁決議となった。中国やロシアも賛成に回ったことで、北朝鮮に対する国際社会の厳しい姿勢が強調された。だが、問題は制裁決議を中国、ロシアなどがどれだけ遵守するのかという点にかかっている。

習近平が金正恩に三行半突きつけた?

従来、北朝鮮の核ミサイル問題については「制裁よりも対話を」という原則を繰り返して経済制裁に否定的な態度を見せていた中国だったが、ここに来て風向きが変わりつつあるようだ。

韓国メディアのヘラルド経済によれば、中国当局は9月、国連安保理による鮮制裁決議案2375号が採択された後、北朝鮮労働者たちへのビザの新規発給を抑制したのに続き、9月28日には、北朝鮮企業に対して120日以内に閉鎖するよう指示し、荷物をまとめた北朝鮮労働者が急増しているという。

ある消息筋は「今年初めまでは、北朝鮮労働者が遼寧省の丹東市だけでも2万人以上いたが、最近中国当局の規制が強くなり、急激に減った。今では丹東駅と出入国事務所に行けば、帰国しようとする北朝鮮労働者の列を見ることができるくらいだ」と話した。

特に最近、中国国内にある北朝鮮との合弁企業などに対する閉鎖通達の影響と、中国の国慶節、中秋節の連休(10月1〜8日)まで重なり、中国にいた北朝鮮労働者たちの帰国が急増したものと思われる。

中国当局は最近、遼寧省丹東と吉林省延辺自治州延吉などで水産加工、衣類、電子部品などの工場に勤務する北朝鮮労働者たちのビザを集中的に検査し、期限切れの労働者を帰国させているという。

これにより9月に入って中国東北部3省(遼寧、吉林、黒竜江)で2000人を超える労働者が北朝鮮に帰国したと推測している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中