最新記事

北朝鮮

中国から労働者を閉め出された北朝鮮 開城工業団地をひそかに再稼働

2017年10月7日(土)15時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

今年4月からは、中国国内の北朝鮮レストランで働く女性従業員についても、ビザの取得要件が強化され、違反している者は北朝鮮に送還されてきたが、今回の中国内の北朝鮮企業閉鎖対象には北朝鮮レストランも含まれており、女性従業員たちの帰国が増えたものとみられる。

米国政府は、中国とロシアを中心に北朝鮮の労働者たちが、全世界に約10万人程度派遣され、毎年5億ドル(=約562億円)を稼ぎ、金正恩政権の外貨稼ぎの窓口の役割を果たしていると推定している。

9月に国連安保理で採択された制裁決議2375号によると、外国企業が北朝鮮の労働者を雇用するためには、安保理の許可が必要とされており、従来から海外で働いている北朝鮮の労働者らも、契約期間が満了すれば、雇用延長を認めないようにした。

中国から開城へ

こうした海外から追い出された北朝鮮労働者の行き先として、今、注目されている場所が、韓国との共同事業を行うために開発された開城(ケソン)工業団地だ。

韓国が資本と技術力と投資し、北朝鮮が労働力を提供して製品を作る、南北共同事業として策定された開城工業団地は、2000年に金大中大統領と金日成総書記による歴史的な南北首脳会談が行われた際に合意して始まった、いわば南北融和の象徴ともいえるプロジェクトだった。開城は北朝鮮第3の都市でありながら、軍事境界線までわずか10km、ソウル、仁川国際空港までそれぞれ数十kmという地の利もあって選ばれた。

だが、北朝鮮側が金正恩体制に移行し、核開発とミサイル発射実験によって南北間の関係は悪化。2016年2月に北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行ったことを受けて、当時の朴槿惠(パク・クネ)大統領が開城工業地区の操業停止と韓国人の引き上げを決定。韓国からの送電も停止し、開城工業団地は事実上休眠した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドネシア中銀、予想外の利上げ 通貨支援へ「先を

ビジネス

超長期中心に日本国債積み増し、利回り1.9%台の3

ビジネス

中国不動産の碧桂園、元建て債3銘柄の初回支払い延期

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中