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ドイツ総選挙

ドイツで極右政党が第3党に 躍進の3つの要因

2017年10月5日(木)16時10分
メリナ・デルキッチ

反エリート感情に根差すポピュリズムは、置き去りにされたと感じる人々の心に訴え掛けると、ブリガム・ヤング大学のウェード・ジャコービー教授(政治学)は言う。AfDはポピュリズムの力で「エリート層を重視する経済への批判と、民衆の声を聞かない政治の在り方への批判を結び付けている」。

第3に、AfDは移民をめぐる国内感情と政策の齟齬に目を付けた。シリアなどから難民・移民が欧州に押し寄せた15年、約90万人をドイツに迎えたメルケルの決断には強い反対がある。今夏の選挙戦では、AfD支持者がメルケルにトマトを投げ付けたり、ホイッスルを吹いて演説をかき消す事件が起きた。

事件の舞台の1つ、旧東独のザクセン州はAfDの牙城で、総選挙での得票率は27%に上った。しかし同州に住むイスラム教徒は人口の0.1%にすぎない(全国平均は5%)。その一方で、14年にドイツ国内で起きた人種差別に基づく襲撃事件の5割弱は、東部地域で起きているとの報告がある。

「ドイツ東部は外国人がいない地域だった」と、ベルリン自由大学の政治学者カルステン・コシュミーダーは言う。「外国人と接する機会がなければ、偏見を持つのはずっと簡単だ」

<本誌2017年10月3日発売最新号掲載>

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