最新記事

プロダクツ

「釘」をジュエリーに。カルティエのブレスレットは反骨のラグジュアリー

2017年9月18日(月)10時55分
写真:森山将人(mili) 文:森下隆太 ※Pen Onlineより転載

両端のディテールはまさに釘。それを現代的なデザインアプローチと職人技で巧みに表現することで、優雅さと力強さを高い次元で両立させています。

1847年の創業以来、王族や文士をはじめとする多くの紳士たちを魅了してきた「カルティエ」。名作といえば、フランスの芸術家ジャン・コクトーが小指につけていた3連リング「トリニティ ドゥ カルティエ」、創業者のルイ・カルティエ自らが愛したレクタンギュラー型の「タンク ウォッチ」、冒険家アルベルト・サントス=デュモンが空の旅をともにした「サントス ウォッチ」などが挙げられます。いずれも時代を超えて、紳士の腕元を華やかに彩ってきました。今回取り上げた「ジュスト アン クル」もそんな名作に挙げられるひとつ。釘をモチーフにしたこのジュエリーは、1970年代に登場。日用品を芸術品へと昇華させたデザインがいままたクリエイティブな人たちに注目され、より自由でより自分らしい装いを求める時代のムードの高まりとともに人気を博しています。

【参考記事】名作を巡る旅は、「トゥミ」のスマートな新作ギアとともに。
【参考記事】本物の価値を知る元サッカー日本代表・中田浩二が、「フェリージ」のバッグの魅力を語る。

201708cartier_khUJlQA.jpg

ブランドロゴの刻印など、非常に細かい部分まで手の込んだ作り。美しい鏡面仕上げで、エレガントかつ上品な光を投げかけてきます。

輝くゴールドで表現された、釘をぐいと曲げたようなフォルム。それは身を飾る宝飾でありながら、同時に"反骨精神"や"力強さ"を感じさせます。ジュエリーは繊細でなければならないという固定概念をひっくり返したのは、デザイナーのアルド・チプロ。カルティエ ニューヨークで数々のジュエリーを生み出した彼は、1970~80年代にかけて世界中のセレブリティを魅了したディスコ「スタジオ54」の自由なムードをこのデザインに投影。ラグジュアリーな遊び心あふれる逸品が誕生しました。

肌の露出が多くなるこの時期こそ、ワードローブに加えたくなる逸品。太すぎず華奢すぎない直径で、さりげなくラグジュアリーな雰囲気を醸すにはうってつけです。素材はともに純度の高いゴールドを使用。ホワイトゴールドのブレスレットにはロジウムコーティングを施し、光沢と輝きをプラスしています。たとえば、ストイックなモードルックにホワイトゴールドのブレスを合わせて、モダンなスパイスとして用いてもいいでしょう。ツイードのジャケットにタイドアップのようなクラシカルコーディネートには、イエローゴールドのブレスを合わせて、洒脱さを演出するのも一手。腕元にひとつあるだけで、装いを幾重にも洗練されたものへと昇華させてくれます。

ちなみに、世界最大のメンズ既製服見本市「ピッティウオモ」に集う紳士たちを見ますと、時計とブレスレットを重ねてつけるのが流行中。何本もジャラジャラとつけるというよりは、1本だけつけるのがトレンドです。ほんのり利かせるくらいのスタンスが、いまっぽい知的な色気を生み出してくれます。

【参考記事】【TRUME、時を刻むアナログの鼓動】Vol.1 針表現を追求した、ロマンの結晶。
【参考記事】インテリアバイヤー・大島忠智と考える、理想を叶える洗面空間づくり。

201708cartier_KHkCMDY.jpg

ブレスレットの真ん中の屈折部分。ほとんど継ぎ目がわからないようななめらかな曲線は、まさにクラフツマンシップの賜物。ハイジュエラーならではの意匠を感じられるポイントです。




カルティエ ジュスト アン クル ブレス

newsweek20170918152040.jpg【価格】写真上:¥793,800、写真下:¥847,800
【素材】ゴールド
【問い合わせ先】カルティエ カスタマー サービスセンター TEL:0120-301-757


※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。

PenOnline





今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪中銀、予想通り政策金利据え置き 追加緩和に慎重

ワールド

豪中銀、コアインフレ率は26年後半まで目標上回ると

ワールド

中国副首相、香港と本土の金融関係強化に期待

ワールド

高市首相、来夏に成長戦略策定へ 「危機管理投資」が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中