最新記事

選挙

都議選は都民ファースト大躍進 自民過去最低で安倍政権に影響も

2017年7月3日(月)00時29分

7月2日、東京都議会議員選挙は投開票が行われ、小池百合子知事が率いる「都民ファーストの会」が現有6議席から49議席へと大幅に躍進し、推薦した候補や公明党などと合わせ、小池知事の支持勢力が議会の過半数を占めることになった。写真は街頭演説する小池知事。都内で5月28日撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

東京都議会議員選挙は2日、投開票が行われ、小池百合子知事が率いる「都民ファーストの会」が現有6議席から49議席へと大幅に躍進し、推薦した候補や公明党などと合わせ、小池知事の支持勢力が議会の過半数を占めることになった。自民党は現有57議席から23議席と半数以下に落ち込む歴史的な敗北を喫した。

自民党が想定を超える大惨敗となったことで、安倍晋三首相の今後の政局運営に対し、野党からだけでなく、自民党内からも批判が出ることが予想され、一部では政局の流動化を指摘する声も出ている。

NHKによると、都民ファーストの会が49議席、自民党が23議席、公明党が23議席、共産党が19議席、民進党が5議席、日本維新の会が1議席、東京・生活者ネットワークが1議席、無所属(都民ファースト推薦)が6議席。

都民ファーストの会は、50人が立候補し、49人が当選し、第1党に躍り出た。

自民党は選挙前の57議席から23議席へと半数以下の大惨敗。都議会議長や都議会幹事長、同政調会長ら幹部が軒並み落選した。

公明党は立候補した23人が全員当選。共産党は現有17議席を上回る19議席を獲得した。

小池都知事は、圧勝となった結果を受け「望外の結果に驚いている。責任の重さを痛感する」と感想を表明、新たに選ばれた都民ファーストの議員が「議会そのものを大きく質的に変えていくと期待する」と述べた。

一方、自民党幹事長代行(都連会長)の下村博文氏は「予想以上に厳しい結果。謙虚に受け止めたい。責任は十分に感じている」と語った。都民が厳しい審判を下したことはしっかり反省し、今後の国政運営にどのように努力していくのかが問われるとの見解を示した。

今回の都議選は、昨年8月に就任した小池都知事の評価を問う選挙で、築地市場の豊洲への移転問題などが争点とされた。

小池知事は、自らが提案した築地市場の豊洲移転・築地再開発プランについて今回の選挙で「信任を得たものと考えている」と述べた。

自民党は、学校法人加計学園の獣医学部新設承認をめぐり、安倍晋三首相と萩生田光一官房副長官の関与があったかどうか、国会で野党から追及を受け、稲田朋美防衛相の都議選応援演説での失言、投票日直前に報道された都連の下村博文会長の闇献金疑惑などが影響した。

選挙戦の序盤では、自民党と都民ファーストの会が第1党を争うとの調査結果が多かっただけに、自民党内からも安倍首相の責任を問う声が出てきそうだ。

NHKによると、石破茂・元地方創生担当相は「この結果を歴史的な大敗と言わずに何と言うのか」「自民党のあり方そのものが、あらためて問われている選挙だ」「自民党本部を挙げて戦った選挙であり、東京都連の幹部が辞めれば、おしまいということにはならない」と語った。

東京大学大学院の内山融教授は、都民ファーストの会の躍進について、ほぼ予想通りだが、自民党がここまで負けるのは予想以上だと指摘。「自民党は加計学園問題、稲田防衛相の発言などアクシデントが多かった。無党派層が多かったので、その投票行動が大きく影響した」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日続伸、終値ベースの最高値更新 円安な

ビジネス

キリンビール、「東南アジア地域本社」設立 35年に

ビジネス

午後3時のドルは148円後半、3週間ぶり高値圏で戻

ワールド

台湾、超大型台風の死者数を14人に修正 行方不明3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 2
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 3
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市場、売上を伸ばす老舗ブランドの戦略は?
  • 4
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 5
    クールジャパン戦略は破綻したのか
  • 6
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 7
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 8
    トランプの支持率さらに低下──関税が最大の足かせ、…
  • 9
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 10
    9月23日に大量の隕石が地球に接近していた...NASAは…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 5
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中