最新記事

エネルギー

サウジとUAE、カタール船入港禁止 液化石油ガスの日本供給に懸念

2017年6月6日(火)10時00分

6月5日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の各港では、両国がカタールと断交したことを受けて、カタール船籍の船舶の入港が禁じられた。写真は2008年4月、スエズ運河を航行するカタールのLNG船(2017年 ロイター)

サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の各港では、両国がカタールと断交したことを受けて、カタール船籍の船舶の入港が禁じられた。カタールからの石油・ガス輸出が混乱する恐れも高まっている。

サウジの港湾当局者は5日ツイッターで、カタールの国旗を掲揚している船舶や、カタールの企業・個人所有の船舶を受け入れないよう海運業者に通達したと明らかにした。また、カタール製品のサウジ港湾での荷降ろしを許可しないと明言した。  

ロイターが確認した通達によると、UAEのフジャイラ港湾当局は「今後新たな通知があるまでは、カタール国旗を掲揚する船舶またはカタールを発着する船舶は、目的のいかんを問わず、フジャイラ港またはフジャイラ沖停泊地への寄港を禁止する」としている。  

サウジとUAE、エジプト、バーレーンは5日、カタールがテロを支援しているとして、交通を含めたカタールとの一切のつながりを断絶することを発表した。  

カタールは液化天然ガス(LNG)の輸出では世界最大。産油量は日量約60万バレルで、原油輸出に関してはそれほど大きくはない。ただ、液化石油ガス(LPG)とコンデンセートの主要輸出国であり、その多くは日本や韓国向けに長期供給契約で輸出されている。  

欧州企業のトレーダー(在シンガポール)は今回の禁輸措置で、カタール産原油やコンデンセートの買い付け業務がより難しくなるとの見通しを示した。  

市場関係者は一様に事態の急激な展開に驚いており、UAEとオマーン向けのカタール産ガスが供給停止されるかどうかを注視している。

[ドバイ 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

野村、年内あと2回の米利下げ予想 FOMC受け10

ワールド

米関税15%の履行を担保、さらなる引き下げ交渉も=

ワールド

林氏が政策公表、物価上昇緩やかにし1%程度の実質賃

ビジネス

午後3時のドルは147円前半へ上昇、米FOMC後の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中